Netflix映画『シティーハンター』ってなんでこんなにヒットしているの?
Netflix映画『シティーハンター』、みなさんはもう視聴しましたか。 私は原作とアニメをこよなく愛し、是非とも自分でも『シティーハンター』を作ってみたいとアニメ業界の門戸を叩き、業界の端っこからレジェンドたち(『シティーハンター』のクリエイターたちのこと)に熱い眼差しを送っていたタイプのファンで、今回の日本初実写ドラマ化を期待半分不安半分で視聴しました。 【全画像をみる】Netflix映画『シティーハンター』ってなんでこんなにヒットしているの? で、感動しましたね。よくやってくれた、とも思いました。原作に敬意が払われていたし、何より主演の鈴木亮平さんが作品をとても愛しているのが伝わってきました。80年代の作品を蘇らせる上での工夫も十分に施されていたと思います。 でも、この記事で語りたいのは作品の良さや鈴木亮平さんの作り込みではなく(他で語り尽くされていますし)、ヒットの理由です。これが配信作品のスタンダードになったら、日本発の世界に通じるコンテンツをたくさん作っていけると思うんですよね。
「原作が愛されている理由」を熟知した作品
『シティーハンター』とは、北条司先生が1985年から1991年まで週刊少年ジャンプ(集英社)で連載していた漫画です。 連載開始当初は、都会に巣食う悪い奴らを人知れず始末するスイーパー(始末屋)の活躍を描いたハードボイルド作品でしたが、途中からギャグ要素が増え、明るく楽しい殺し屋漫画へと方向転換した経緯があります。このため、主役の冴羽獠は、普段はおちゃらけているけれど実は影があって複雑な過去を引きずるヒーローという設定となっています。 作品の魅力は、冴羽獠とパートナーである槇村香のテンポいい掛け合いや、魅力的な脇役キャラ、個性豊かで美しいゲストたちなどなど。それ以外にも、ゲストが引き出す冴羽獠の隠れた才能や博識っぷりもファンを沼らせました。 でも、ファンを何十年も熱狂させた最大の理由は、半リアルな世界観にあると思います。冴羽獠は新宿に住んでいて、西新宿や歌舞伎町、ゴールデン街で遊んでいる様子が描かれています。あまりにも新宿の街に溶け込んでいるので「もしかするとシティーハンターのキャラクターたちは新宿のどこかで元気に生きているのかも」と錯覚させたほど。アニメではそれを狙った実写背景合成映像なんかも作られていましたしね。 そして、Netflix映画『シティーハンター』は、元祖2.5次元とも言える設定こそが長期的に愛されてきた秘訣だと理解しているから時代設定を令和にしているのです。 オリジナルの漫画には、今の時代にはそぐわないとされる話題や描写も登場します。そういった原作らしさを削ることなく実写化するためにも、Netflix映画『シティーハンター』は時代を連載当時の80年代にするべきでは、といった意見も見られます。 しかし、新たなファンを獲得したり、グローバルに受け入れられたりするためには、現代に甦らせる方がベター。今なお冴羽獠を愛してやまないファンが同じ時代を生きていると感じさせるためにも、令和を時代設定にするのはベストだったと言えるでしょう。