Netflix映画『シティーハンター』ってなんでこんなにヒットしているの?
海外ファンにとっても原作リスペクトは重要
そんなNetflix映画『シティーハンター』は、日本のみならず、週間グローバルTOP10(非英語映画)」でも初登場1位を獲得しています。 実は『シティーハンター』は海外でも人気で、1993年には香港でジャッキー・チェン主演で実写映画化、2019年にはフランスで『シティーハンター THE MOVIE 史上最香のミッション』が作られています。 このフランス版のフィリップ・ラショー監督は、自らが冴羽獠役を演じるほど『シティーハンター』ファン。フランスが舞台でありながらも、原作やアニメの要素を随所に取り込んだ愛溢れる作品として日本のファンからも支持されているんです。 そして、Netflix映画『シティーハンター』が海外のファンから高く評価されているのは、原作に対するリスペクトが見られることと、現代にキャッチアップさせている一方で、昨今のハリウッド作品に多く見られる政治的思想を盛り込みすぎていない、純粋な娯楽作品に仕上がっていることも理由のようです。
率先して話題を作る宣伝スタイルが大成功
ただ、原作リスペクトだけではここまで話題にならないだろうし、配信開始から1カ月が経過しようとしているのに国内視聴1位を取り続けられないと思うのです。やっぱり、宣伝が効いているのでしょう。 中でも、冴羽獠を演じた鈴木亮平さんの宣伝効果は抜群でした。かなり前から『シティーハンター』の大ファンだと公言している鈴木さんは、取材やインタビューを精力的にこなすだけでなく、さりげなく期待度を上げる作り込んだ仕草を披露するショート動画をSNS上にアップしました。 さらに、2回にわたってSNSで同時視聴イベントを開催。演者ではなくファン目線でコメントし、コミュニティを盛り上げました。 Netflixもブルーカーペットイベントを開いたり、期間限定オブジェを置いたり、Xで関連ワードをハッシュタグすると「もっこり」絵文字が現れたりする仕様を展開。イベント当日からSNSの投稿を解禁し、積極的なポストを促すなど、SNSの活用が目立ちました。 海坊主役のマフィア梶田さんをこっそり出演させたり、アニメ『シティーハンター』で冴羽獠の声を担当している神谷明さんのアナウンスを紛れ込ませるなど、ついついSNSに書き込みたくなる小ネタを散らしていたのもうまい。 ハリウッド映画は高額な宣伝費で知られています。2023年に大ヒットした『バービー』なんて、1億4500万ドルの製作費に対して、1億5000万ドルのマーケティング予算が投じられました。SNSを重要視していて、バズらせることを見越した仕掛けがたくさんありましたよね。 今回のNetflix映画『シティーハンター』は、主配信だからこそのマーケティング手法が素晴らしかったです。そりゃ、話題にもなるし、今まで『シティーハンター』を知らなかった層も興味を持つでしょう。話題にしてもらうのを待つのではなく、積極的に話題を作っていくスタンスなのが十分に伝わったし、うまく機能していると感じました。ヒットした、というよりちゃんと計算してヒットさせたってことだと思います。 こんなに結果を出したのだから、続編も期待できるかもしれませんね。 Netflix映画「シティハンター」独占配信中 視聴はこちら ©北条司/コアミックス 1985
中川真知子