氾濫想定し土のう工法など水防演習 三重・松阪市と多気3町など主催
津市の雲出川緑地で57機関
大規模な水害に備えた訓練「三重四川連合総合水防演習」が19日午前9時から、三重県津市木造町の雲出川緑地で開かれた。国土交通省中部地方整備局や松阪市、多気郡多気、明和、大台3町などが主催。57機関から約730人が参加した。 雲出川と櫛田川、鈴鹿川、宮川での災害対応能力の強化を目的に実施。関係者の水防技術の習熟を図るとともに、関係機関が相互に連携して対応する複合災害に備えて万一の時の動きを確かめる狙いがある。 この日は1959(昭和34)年の伊勢湾台風を超える猛烈な勢力の大型台風が襲来する想定で実施。一連の作業について「高齢者等避難発令」「氾濫危険水位」「避難指示の発令」「雲出川堤防漏水決壊による氾濫発生」などの流れで確認した。 堤防が決壊して氾濫するまでは、人力で土のうを使ったさまざまな工法に取り組んだ。うち月の輪工法は、水漏れする堤防の一部を土のうを積んで取り囲んで漏水を抑えるもの。災害対応に有効な農業土木技術を学ぶ三重大学生物資源学部の学生24人も参加し、土のう作りなどを体験した。 氾濫発生後は土砂に埋もれた人の救助や道路の土砂を除去して車の走行を可能にしたり、ポンプ車による排水作業などに当たった。 ドローンを活用して人が立ち入れない場所の状況なども見て対応していた。 中部地方整備局の佐藤寿延局長は「洪水の危険性が逼迫(ひっぱく)する前のリードタイムを十分に活用することが重要。訓練で培ったネットワークを今後の円滑な活動に役立ててほしい」と述べた。