勝てない札幌…ミシャ監督、異例の30分熱弁 一転解任でも覚悟「クラブがどう判断するか」
ペトロヴィッチ監督はクラブが解任の決断をした場合は受け入れる構えを示唆
ペトロヴィッチ監督は、「今、怪我をしている選手が戻ってくるのは、我々のプラスになるし、十分にどこのチームとも戦える力はある。結果が伴っていない試合も非常に今シーズンは多い。そのなかで、どう自分たちが這い上がっていくのか。私はまだ希望を捨てていない」と言いつつも、「最後に言いますが、クラブがどう判断するかは、私は常に承知しています」と、クラブが一転して解任という判断をした場合は受け入れる姿勢も明らかにした。 さまざまな思いが胸の中にはあるのだろう。「私は札幌では、プロフェッショナルな仕事をしてきたと思っている。最初のシーズンは年齢の高い選手が多かった。若い選手を育てながら、1年1年しっかりチームを作り、J1でも一目置かれる存在になったと思う。札幌がどういうスタイルかは、見ている人がしっかり分かるチームを6シーズンで作ったと思っている。大卒で入ってきた選手も、この6シーズンで多くいた。彼らが成長するなかで、チームも強くなった。残念ながら、我々の経営上、資金力がないなかで、そうした選手たちが買われていく現状がある。そのため積み上げていくことができないことが続いている。我々に彼らを引き留める資金力があれば、十分タイトルが狙えたチームになっていただろう」と言い、まず2人の選手の名前を挙げた。 「鈴木武蔵はJ2の(V・ファーレン)長崎から札幌に移籍して成長してJ1で実績を残した。夏に欧州移籍する前に14ゴールを取り、J1の得点ランキングトップに立つような状況で、海外に移籍していた。アンデルソン・ロペス(現横浜F・マリノス)も(サンフレッチェ)広島やFCソウルではレギュラーになれず、札幌で成長して活躍してくれた。彼も得点ランキングの上位にいたなかで、中国のクラブに移籍していった。おそらく、この2人がいればシーズンで25点から30点は計算できた。ビッグクラブでも、そうした選手が移籍すれば、その代わりになる選手を見つけるのは難しい」と切り出すと、その後も次々と札幌を離れた選手たちの名前を挙げていった。 そこには、DF進藤亮佑(現セレッソ大阪)、MF高嶺朋樹(現柏)、MF田中駿汰(現セレッソ大阪)、MF金子拓郎(現ディナモ・ザグレブ)、FW小柏剛(現FC東京)、MFルーカス・フェルナンデス(現セレッソ大阪)、FWチャナティップ(現パトゥム・ユナイテッド)といった選手たちの名前が出てきた。 ペトロヴィッチ監督は「今、名前を挙げた9選手がみんな残り、今いる選手たちとともに、もしくはさらに補強ができていれば、我々はタイトルを狙えるチームだっただろう。チャナティップは推定5億円という大きな移籍金で移籍しましたが、チームにいたら力になってくれたでしょう。そういった選手たちを維持していくことが難しい。1年1年戦っていくなかで、エラーの起こる年が出てしまうのがチームの現状だと思う。もちろんチームは苦しいが、私は札幌が残留できると思っている。それが私とともにであろうが、私とともにでないとしても、とにかく札幌は(J1に)残らないといけないと思っている」と、約30分にも及んだ会見を締めくくった。
河合 拓 / Taku Kawai