“グルメ通”の地元記者だけが知る!本当は教えたくない名店【中部編】
日々、昼夜問わずニュースを追う記者たち。彼らが中でも楽しみにしているのが食事のひとときだ。火災を乗り越え復活したチキンカツライスから、厳選した米に気温や湿度で塩加減を調整するおにぎりまでストーリー豊かな店に記者は惹きつけられる。町の隅々まで駆け回った地元記者だからこそ知る名店を紹介したい。 【画像】あの伝説の“そば”が全国で初めて復活! ※外部配信先では写真が表示されないことがあります。その場合は、FNNプライムオンラインのサイトでご覧下さい。
火災乗り越え復活!変わらぬ味のチキンカツライス/長野
長野で地元記者がおすすめする店は、長野市の大衆食堂「文佳」。大きなチキンカツに甘めのソースをかけた「チキンカツライス」(750円)が看板メニューだ。 「文佳」は1975年にスタート。夫婦2人で始めた店は、徐々に評判となり、県庁や裁判所などから出前の得意先となった。長野放送報道部でも、時々、出前をとっている。 やがて両親を見て育った3姉妹が食堂を支えるようになり、家族で協力し、地域の胃袋を満たしてきた。 しかし、2022年、予期せぬ困難に直面する。 近くで火事が起き、「文佳」の建物にも延焼し、営業休止を余儀なくされたのだ。 一時、閉店も考えたが、踏みとどまることができたのは、常連客からの「待ってるよ」という励ましの声だった。 火災を乗り越え2年、2024年3月に営業を再開。長く継ぎ足して使ってきたチキンカツライスのソースは消火活動で使えなくなったが、一から作り直し、復活させた。 家族で支え合って新たな一歩を踏み出した「文佳」。2025年、創業50年の節目を迎えるが、これからも地域に愛される食堂として続いていく。 (長野放送) 《文佳》 住所:長野県長野市大字南長野妻科281
消えた「支那そば」を国内で初めて復元/山梨
山梨で地元記者がおすすめする店は、2024年に60周年を迎える甲府市の「蓬莱軒」。甲府駅の南口から徒歩で20分ほどの店には開店と同時に次々に客が入り、10分後には店内が満席になるほどの繁盛ぶりだ。 これまでにも多くの雑誌やメディアでも取り上げられ、ラーメン雑誌では山梨県ラーメンランキングで1位になったことがある。 店の看板メニューは「支那そば」(900円)。多いときは1日350杯も注文があるという。 具材は肉厚の柔らかいチャーシューに、ナルト、ノリ、ネギに真っ赤なメンマ。麺は細縮れ麺で添加物を使わず、製麺所に依頼したこの店だけの特注品だ。 スープはあっさりとした醤油ベースだが、しっかりとした旨味と芳醇な香り。こだわりのスープの作り方は企業秘密とのことで、麺もスープも創業から変えていないという。 創業者の山下岩雄さん(78)は、「支那そば」とは「食文化の我らのふるさと、心のふるさと、魂だ」と熱く語る。 明治時代、肉や脂の匂いがして日本人に受け入れられなかった中華そばのスープ。そこで、これにしょうゆを入れて肉の臭みを消し、日本版の中華そば「支那そば」が誕生したのだという。 しかし、戦後「支那」という言葉が中国に対する差別用語だと指摘されて使われなくなるとともに、「支那そば」という言葉も消えてしまったのだそうだ。 岩雄さんは「歴史上にあった『支那そば』を世に伝えたくて店を始めた」と言う。その名前とともに、100年の歴史を持つ日本生まれの中華そばの味を復活させた初めての店を自認している。 「支那そば」の他にもチャーシューメン、ボリューム満点のチャーハン、試行錯誤して完成させた餃子が人気のメニューだ。 店の経営は創業者の岩雄さんから7年前に息子で2代目の雄也さんに引き継がれている。 雄也さんに経営を引き継いで苦労したことはと聞くと、「2年前に厨房で火事がおき店を2カ月も休むことになった時は辛かったが、でも辛いことはあっという間に過ぎるんですよ」と明るく語る。 親子二代でつなぐたすき。 山梨で麺と言えば、郷土食の「ほうとう」を思い浮かべる向きも多いとは思うが、お訪ねの際は、この山梨の「元祖支那そば」も味わってみてはいかがだろうか。 《蓬莱軒》 住所:山梨県甲府市中央4-12-28