「早く大人になろうと急がないで。遊んで、遊んで」世界一貧しい大統領から届いた日本の子どもへのメッセージ
「経済的な豊かさ=幸せ」は真っ赤なウソだという証拠
もちろん、そんな生き方を否定したいというわけでは決してない。ただ、それでいいのか自分に問いかけてみて欲しい。 レールの上を走るだけでは、レールのない場所を自分の足で歩く充実感や、そこでしか見れない景色には出逢えない。 それに、レールから落ちなかったケースのことを書いてみたけれど、レールから落ちるケースのほうが圧倒的に多いと思う。 受験に落ちたり、就職がうまくいかなかったり、リストラ、会社の倒産など、レールから落ちるタイミングなんていくらでもある。 レールの上にしか人生がないと思っている人は、一度レールから落ちると自暴自棄になったり、自己嫌悪におちいったりしてしまう。 さらに言えば、世界大学ランキングでトップだった英オックスフォード大学は、以下のように発表した。 「約10~20年後には、(2013年にあった職業のうち)約半分の職業はなくなる」 つまり、必死で落ちないようにしているそのレールは、そもそも先がないレールかもしれない。これからの時代に求められるのは、「なにが起きても自分でなんとかする」という強さや、知恵や人格だと思う。 そしてそれは、勉強だけしていて身につくものではない。遊びのなかにこそ、学びがあるのだ。 それに、「経済的な豊かさ=幸せ」というのは真っ赤なウソだということを、そろそろ大人から認めて、子どもに伝えていきたいものだ。 「GDP(国内総生産)ランキング」と、「幸福度ランキング」は、驚くほど一致していない。ハーバード大学も、75年に渡る研究の結果、「お金」と「幸福」は無関係で、「信頼し合える人間関係」が一番だと結論づけた。 日本で一番経済が活発なのは言うまでもなく東京だけど、「都道府県幸福度ランキング(2022年)」で東京は46位だった。 「経済的な豊かさ=幸せ」は真っ赤なウソだという証拠は、これまでのどの時よりも、今、僕たちの前に出揃っているのだ。 子どもの頃のかけがえのない時間は、一度過ぎてしまったら、二度と返ってはこない。 「遊んでばかりいないで、勉強しなさい!」 僕が子どもの頃、こう言われている子をよく見たけど、今、僕は心の底からこう思う。「勉強ばかりしてないで、遊ぼう!」 子どもだけでなく、大人も思いっきり遊んでいいと思う。 本気で遊んで、人生を楽しんでいる大人の背中こそが、子どもに希望を与える。 文/谷口たかひさ 写真/shutterstock ---------- 谷口たかひさ(たにぐち たかひさ) 1988年大阪生まれ。日本の大学在学中に留学費用の工面のため10代ながらインターネットビジネス会社を起業し、イギリスのマンチェスター大学へ留学。卒業後、チェーンストアのエリアマネージャー、アフリカのギニアでの学校設立支援、メガバンク/M&A/メディアのコンサルタント、グローバルIT企業の取締役を経験。その後、社会の課題解決を志してドイツへ移住し、起業。2019年、ドイツで気候危機の深刻さを目の当たりにし、「みんなが知れば必ず変わる」をモットーに、気候危機の発信や日本では報道されない世界情勢にまつわる講演を開始。世界中から講演に呼ばれるようになり、日本では1年で515回、全都道府県での講演を達成。2021年には国連総会の司会とスピーチも務めた。趣味は旅と勉強で、訪れた国は約80ヵ国。保有資格は国際資格や国家資格を含め30個以上。 ----------