つぎの「日銀会合」でまた波乱か…!「植田総裁vs.内田副総裁」バトル勃発で、いま注目が集まっている「植田発言」
日銀 正副総裁のバトルは尾を引くのか…
9月19・20日に日銀の金融政策決定会合が開催される。この会合の最大の注目点は、植田和男総裁の記者会見となるだろう。 【一覧】日本株は耐えられるか…「円高に“強い企業”と“弱い企業”」の60銘柄 ややもすれば、この会見でまた一波乱ということもあるかもしれない。今回は、その理由を説明していこう。 前編『まさか日銀で「植田総裁vs.内田副総裁」バトル勃発か…つぎの日銀会合は「円高急進」を覚悟せよ!正副総裁「意見の違い」で鮮明になった「ふたりの溝」』では、前回の決定会合後の株価の大暴落とその後の乱高下について、植田総裁と内田眞一副総裁の「利上げ」についての考えにズレがあることを解説した。 株価の暴落を受けた内田副総裁が、金融資本市場が不安定な状況で、「利上げをすることはありません」と発言したのに対して、植田総裁は株価の暴落は日銀の利上げのせいではないとして、今後も利上げする姿勢を変えなかった。 では、日銀はこの9月会合でさらなる利上げを行うだろうか。筆者の考えは「ノー」である。 その理由は、日銀には利上げを行うにあたって見極めるべき3つの要素があるからだ。ひとつはアメリカ金融当局の動き、つぎに為替動向、そして米大統領選だ。
FOMCは大胆な利下げをするかもしれない
今回は日銀の決定会合前の9月17・18日にアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)が、FOMC(公開市場委員会)を開催し金融政策を決定する。 前回の日銀の決定会合とFOMCは同日に行われ、日米の時差から日銀会合はFOMCの前に利上げの結論を出した。FOMCの結果を軽視したことが、急激な円高と株価の暴落を招いたわけだが、今回はFOMCが先に行われるので前回のような混乱の要素はない。 米パウエルFRB議長は8月23日、アメリカのカンザスシティ連銀が主催する年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会合」の講演で「金融政策を調整する時が来た(The time has come for policy to adjust)」と述べ、9月FOMCでの利下げに踏み切る姿勢を明確に表した。 この時、利下げ幅や今後の利下げペースについては、「経済指標次第」としたものの、「労働市場のこれ以上の冷え込みや減速を望まない」とし「力強い労働市場を支えるためにできることは全てやる」と発言したことから、市場はアメリカの雇用情勢に注目した。 その雇用情勢がマーケットの予想を下回っていたことから、市場ではアメリカの9月の利下げ幅が当初予想の0.25%から0.5%になるのではないか、あるいは0.25%の利下げを年内に2回から、3回になるのではないかと利下げ予想を拡大している。 したがって、日銀はFOMCの結果を受けた為替相場の動向を慎重に見極めなければ、次の利上げに打って出ることはできないだろう。 9月19・20日にそれを判断するには時期尚早だ。