近代美術館「鎌倉館」31日が最後の展示 65年の歴史に幕、ファンら殺到
「悲しすぎる」「ありがとう」
閉館に向けて同館は昨年4月から、戦後の開館のときまで遡る手法による3部構成で作品を紹介。展示終盤となった最近は梅原龍三郎の「椿」、安井曾太郎の「家族」、麻生三郎の「自画像」などの絵画や、高村光太郎の「裸婦坐像」(ブロンズ)など多数を展示しました。これらの作品は、収蔵している葉山館や鎌倉別館などで今後運用します。 鎌倉館によると会期末の来館者は、平常時の10倍という1日2500人に上りました。ロビーには、閉館を惜しむ市民やファンのメッセージが常時300枚も張り出され、「(閉館が)悲しすぎます」「これまでありがとう」などの声が紹介されていました。
31日の展示終了を前に、29日会場を訪れた藤沢市の主婦(71)は「水沢館長の美術史の講座などで多くの画家を知ることができた。閉館は残念です」。横浜国立大附属鎌倉中学校の生徒を引率してきた教員の1人、五十嵐誠さん(31)は「学校も美術館に近く、教育の場としても大切だっただけに惜しまれます。また評価の高いこの建物も注目されており、私の仙台の友人もあす見学に駆けつけてきます。すばらしい美術館でした」と話していました。 (高越良一/ライター)