トレンドフォロー型クオンツに勢い戻る-2月だけでリターン45%も
(ブルームバーグ): ウォール街でトレンドフォロー型のクオンツファンドが勢いを盛り返しており、今年は2008年以来の好調な滑り出しとなっている。株式相場の上昇継続と商品相場の大きな値動きが背景にある。
元メリルリンチのオプショントレーダーが設立したマルバニー・キャピタル・マネジメントなどの勝ち組は、2月だけで45%のリターンを獲得。農業などニッチ(隙間)市場での力強いトレンドに乗ったほか、人工知能(AI)ブームを背景とした連日の株式相場高騰が寄与した。事情に詳しい関係者によれば、ダン・キャピタル・マネジメントでも旗艦ファンド(運用資産9億3000万ドル=約1374億4000万円)の年初来リターンが31%となっている。
騰勢止まらぬS&P500種、押し目買い投資家に戦略見当たらず
このところの世界株上昇が後押しし、AQRキャピタル・マネジメントでは2月、少なくとも3つのトレンドフォロー戦略で過去2番目の好成績を収めた。
広範な商品に分散投資し運用を行う商品投資顧問業者(CTA)は通常、さまざまな先物市場の勢いに乗ることで利益獲得を目指す。トレンドフォロー型のファンドには数多くのタイプや規模が存在し、資産の配分もさまざまだが、ソシエテ・ジェネラルがまとめた指数によれば、CTAは今年最初の2カ月に7.7%のリターンを上げた。1999年からのデータによれば、これは2008年以来の好成績だ。
ダン・キャピタルのジェームズ・デイリー最高経営責任者(CEO)は「全般的に良いトレンドが起きている」と指摘。「株式相場が非常に好調なときも低調なときも、CTAはとりわけうまく機能してきた」と述べた。
ダンの世界金融・農業プログラムは2月に19.6%のリターンを記録。大型テクノロジー銘柄が主導した株式相場上昇と、ココアや穀物といった農作物の一方向のトレンドに乗った。
こうした好調さは、2023年からの状況反転となる。23年にCTAは、資産価格変動の影響でリターンが急激に落ち込んだ。株式相場は、当初リセッション(景気後退)と利上げへの懸念から大きく下げたが、その後はAIブームが広がり、米金融当局が政策緩和への姿勢転換を示唆する中で急伸した。ソシエテの集計では、CTAの昨年のリターンはマイナス4.2%だった。