オレンジジュースが危機的状況に… メーカーは「代わりの果物」探しを急ぐ?(海外)
オレンジジュース・メーカーは供給危機に直面し、代わりとなる果物を検討している。 ブラジルやアメリカのフロリダ州では病害と天候不順のため、オレンジの供給量が減っている。 【全画像をみる】オレンジジュースが危機的状況に… メーカーは「代わりの果物」探しを急ぐ? サプライヤーが解決策を模索している間に、オレンジの価格は上昇している。 供給危機に直面するオレンジジュース・メーカー大手は、代わりとなる果実の使用を検討しなければならないかもしれない。 FundecitrusとCitrusBRのレポートによると、気候危機とカンキツグリーニング病という病害の影響で、ブラジルのオレンジ農家の収穫量はここ数十年で最も少なかったという。 ブラジルは世界最大のオレンジジュースの生産国であり、輸出国でもある。レポートでは、ブラジルのオレンジの主要産地であるサンパウロとミナス・ジェライスの2024~2025年の収穫量は、前の年に比べて24.36%減の2億3238万箱(1箱あたり40.8キログラム)になると予測している。 「この予想が当たれば、1988~1989年以来2番目に少ない収穫量になる」という。 世界第2位のオレンジジュースの生産地であるアメリカのフロリダ州も病害や天候不順のため、深刻な供給不足に直面しているとフィナンシャル・タイムズは報じている。 International Fruit and Vegetable Juice Association(IFU)のプレジデントを務めるキース・クールズ(Kees Cools)氏は、最近の供給不足は 「危機 」だと同紙に語った。 「大規模な寒波やハリケーンの時でさえ、こんな状況は見たことがない」とクールズ氏は話している。 フィナンシャル・タイムズによると、オレンジジュースの供給者はこれまでジュースの在庫を冷凍する ── そうすると最長で2年使用できる ── ことで、長期的な供給不足を回避してきた。ところが、供給不足が3年続いたことで、冷凍の在庫すらも減ってきているという。 大きな問題の1つはカンキツグリーニング病だ。これは植物につく虫によって引き起こされる治療法のない病害で、果実を苦くし、最終的に木を枯らす。 2008年にフロリダ全土に広がって以来、カンキツグリーニング病は気候危機と相まって悲惨な結果をもたらしている。ここ20年でフロリダ州のオレンジジュースの供給量は、年間2億4000万箱から1700万箱に減ったとクールズ氏はフィナンシャル・タイムズに語った。 クールズ氏は、メーカーは天候に左右されにくいマンダリンといった別の果物を使うことを検討する必要があるかもしれないと話している。 ただ、これには時間がかかる。フィナンシャル・タイムズによると、IFUは食品の国際基準(コーデックス基準)やアメリカ食品医薬品局(FDA)に法規制の改正を求めなければならないだろう。 一方、調査会社Mintecの商品市場データアナリストであるハリー・キャンベル(Harry Campbell)氏は、メーカー各社は洋ナシやりんご、ぶどうのジュースの使用量を増やすことで、オレンジへの「依存度を下げる」可能性が高いとCNBCに語った。 影響はすでに出ている。濃縮オレンジジュースの先物は5月28日、ニューヨークのインターコンチネンタル取引所で4.92ドルまで値上がりしたとフィナンシャル・タイムズは報じた。これは前年のほぼ2倍だという。 また、データ収集プラットフォームのStatistaによると、平均的なアメリカの消費者が購入する16オンス(約470ミリリットル)のオレンジジュースの価格は、2019年には2.41ドルだったのに対し、2023年の終わりには3.41ドルだったという。 ラボバンク(Rabobank)のシニア飲料アナリストであるフランソワ・ソンヌヴィル(Francois Sonneville)氏は、消費者のオレンジジュースに対する需要は、値上げの影響で1年前に比べて約5分の1減少したとガーディアンに語った。 「世界のオレンジジュース産業が危機にある」とソンヌヴィル氏は指摘した。 「フロリダの産業はほとんど消滅し、ブラジルの果樹園は病害やコストの上昇、好ましくない生育条件に悩まされ、世界のオレンジジュースの供給量は過去数十年で最低となった」 「オレンジジュースの供給が極端に減って、消費者がオレンジジュースに割増金を払わなくなるまで価格は上昇し続けるだろう」とキャンベル氏はCNBCに話している。 Business InsiderはIFUにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
Mikhaila Friel