ワンオク・Takaが「パニック障害」を公表 周囲はどのようにサポートすればいいのか?
パニック障害の予後と日常生活の注意点
編集部: パニック障害は治りますか? 稲川先生: パニック発作や予期不安を経験したことがある人にはわかりますが、「治らないのではないか」「一生病気と付き合うのか」という不安に駆られることがあります。不安になるのも無理はありませんが、パニック障害は適切な治療を受ければ治る病気です。 しかし、パニック発作やパニック障害を放置すると外出が困難になり、ますます発作に対する不安を高めてしまいます。パニック障害は抑うつ状態・うつ病を併発することも多いため、早期発見・早期治療が大切です。 パニック障害を放置しても自然に治ることはほとんどなく、むしろ慢性化して抑うつ状態やうつ病になるリスクを高めます。辛い症状があれば、1人で悩まず受診することをおすすめします。 編集部: 日常生活における注意点を知りたいです。 稲川先生: パニック発作は疲労や睡眠不足で起こりやすくなるといわれているため、しっかりと睡眠をとって疲れを溜めないことが大切です。規則正しい生活や栄養バランスのとれた食生活を心がけてください。 カフェイン・アルコール・ニコチンは避け、日中は適度に身体を動かしましょう。また、パニック障害は数回の受診で治療が完了するものではありません。治療を中断しないため、そして再発しないためにも信頼できる医師をみつけることが大切です。 「最近発作が起こらないから」と自己判断で薬を中断せず、医師の指示に従いながら薬を調整しましょう。日常生活や薬のことなど、気になることがあれば早めに医師に相談するのもパニック障害の治療で大切なポイントです。 編集部: 周囲の人はどのようにサポートすればよいですか? 稲川先生: パニック障害の患者さんの中には、「周囲の人に理解されない」と思い苦しむことも少なくありません。身体には異常がないため「大げさ」「気の持ちよう」という言葉で片づけられてしまうことがあります。 しかし、本人は度々起こるパニック発作や予期不安に苦しみ、「死ぬかもしれない」という死の恐怖に直面しているのです。 もし友人やご家族など、身近にパニック障害の人がいたら、相手の不安や恐怖を否定しないでください。辛い気持ちに共感したり温かい言葉をかけたりするだけでも、気持ちが軽くなることがあります。 誰かが側にいてくれるという安心感は、パニック障害の患者さんにとって大きな心の支えになるでしょう。そのためにも、病気の症状や治療などについての理解が必要です。 編集部: 最後に、読者へメッセージがあればお願いします。 稲川先生: 「パニック障害」と聞くと、何となく特別な病気のように感じる人も多いのではないでしょうか。しかし、1,000人に6~9人がかかる、誰でもなりうる病気です。 突然動悸・めまい・手足の震え・窒息感などの身体症状が出ると、不安や死の恐怖を抱くのも無理はありません。パニック障害になると不安や恐怖だけでなく、孤独感に悩む人も多いです。 適切な治療を受ければ治る可能性がある病気のため、1人で悩まず受診することが大切です。