ワンオク・Takaが「パニック障害」を公表 周囲はどのようにサポートすればいいのか?
パニック障害の診断と治療方法
編集部: パニック障害を疑ったら何科を受診すればよいですか? 稲川先生: パニック障害を疑う症状があれば、精神科・心療内科を受診してください。しかし、最初から精神科・心療内科にかかるのではなく、「大きな病気ではないか」と思って内科や救急外来を受診するケースも少なくありません。 パニック発作でみられる動悸・胸の痛み・冷や汗といった症状は、心筋梗塞を疑う症状でもあります。パニック発作の場合は検査をしても身体に異常はみられません。そういった症状の訴え・受診歴・検査結果をもとに、精神科・心療内科を紹介されるケースもあります。 身体の病気ではないことを確認するためにも、最初に内科を受診するのも1つの方法です。 編集部: 診断基準について教えてください。 稲川先生: まずは身体に異常がないことを確かめる必要があります。また、理由がなく突然発作が起こることも、パニック障害の診断に必要な情報です。 そして、「また発作が起こるかもしれない」という不安・恐怖のような精神症状や、発作を回避するための行動の変化が1か月繰り返されるとパニック障害と診断されます。 編集部: パニック障害の治療方法が知りたいです。 稲川先生: 主な治療方法は、薬物療法と精神療法です。薬物療法の目的は発作を起こさないことで、抗うつ薬の1つである選択的セロトニン再取込み阻害薬(SSRI)や、ベンゾジアゼピン系抗不安薬が使われます。 正しく内服すれば発作を起こさないか、もしくは回数を減らすことができ、パニック障害のコントロールにつながります。パニック障害の治療には他にも精神療法があり、併用されることも多いです。 編集部: 治療は薬物療法だけではないのですね。 稲川先生: パニック障害に効果的とされているのが「曝露療法」です。曝露療法はパニック発作が起こりやすい場面に向き合い、発作が起こりうる状況でも安心していられるようにします。 要は、「発作が起こるかもしれない」という不安な状況に慣れて、「この状況でも自分は大丈夫」と不安を和らげていくということです。 その他にも呼吸法や認知行動療法などがあり、患者さんに合った精神療法が選択されます。精神療法は、決して「気の持ちようで病気を治す」という意味ではありません。 特に曝露療法は辛い場面に向き合うことがあるため無理は禁物です。パニック障害の治療は、焦らず自分のペースで進むことが大切です。治療について不安なことがあれば、医師やカウンセラーに相談しましょう。