仲良くしても、昇進させても「辞める部下」は結局いる…すべての上司に知ってほしい「部下が会社に求めているもの」
人手不足の現代にとって、「離職」は採用面や業務の効率面などに大きく作用するため、企業としては何としてでも防ぎたいもの。しかし、なぜ人が離職するのか、その要因を知っている人は少なくない。 【写真】人事評価で「上位5%」に入った人たちの働き方「驚きの共通点」 前編記事〈仲良くしていた部下がどんどん退社し「人間不信」に…35歳課長が知らなかった「離職を引き起こす4つの欲求」〉では、仲良くしていた部下がどんどん辞めていく製造業の課長の事例、部下を高く評価し昇進させたにもかかわらず辞められた広告業勤務の男性の事例を紹介しするともに、離職の根本的な原因となる「4つの欲求」について解説した。 本稿でも引き続き、『離職防止の教科書』を出版したばかりの経営心理士・藤田耕司氏が、事例とこの4つの欲求にもとづいて、離職防止のための対応について解説する。
社員が会社に抱く4つのニーズ
部下が辞めないように努力してきた。なのに突然部下に辞められた。 そういう経験を何度かしている人は、「部下との接し方がわからない」「部下と接するのが怖い」「人間不信になる」といった話をされます。 ただ、離職の背景には必ず、離職を決意させた心理的要因があります。 この点について、前編記事で、人間は「生存欲求」「関係欲求」「成長欲求」「公欲」という4つの根源的な欲求を抱いており、会社に対して次のようなニーズを抱いているとお伝えしました。 ・十分な給料を払ってほしい、労働環境は健全なものであってほしい(生存欲求) ・良好な人間関係の中で働きたい、自分のことを認めてもらいたい(関係欲求) ・成長の機会を提供してもらいたい(成長欲求) ・仕事を通じて人を喜ばせたい、社会の役に立っている実感を得たい(公欲) このニーズが満たされない時、人は離職を考えます。 これに加えて、育児、介護等のプライベートの事情による離職があります。 そのため、部下の離職を防ぐには、これらの離職の原因となる要素にいかに対応するかが問われます。