育休取得後に職場復帰。時短勤務での賃金が上乗せ? 「育児時短就業給付(仮称)」の方向性を探る
夫婦共働きが当たり前の世の中ですが、育休取得後に職場へ復帰し、しばらくは短時間勤務で働こうと考えている方にとって、その間の収入をどうすべきかは頭の痛い問題かもしれません。 2023年11月13日、厚生労働省の労働政策審議会(職業安定分科会雇用保険部会)が開かれ、「育児時短就業給付(仮称)」の創設について検討が始まりました。 この施策は同6月に閣議決定された「こども未来戦略方針」に盛り込まれているもので、育児を理由とした時短勤務中に支払われる賃金について、一定の割合を上乗せして支給するなどの案が提示されています。 今回は育児時短就業給付(仮称)の概要のほか、具体的に検討されている内容や方向性について、厚生労働省が公開している資料を基に確認したいと思います。 ※この記事は2023年11月30日時点の情報を基に執筆しています。
育児時短就業給付(仮称)の制度概要
育児時短就業給付(仮称)は、以下のように制度の概要が示されています。 【被保険者が、2歳未満の子を養育するために、時短勤務をしている場合に、賃金の低下を補い、時短勤務の活用を促すための給付を支給する。】 出典:厚生労働省 「これまでの議論の整理と見直しの方向性(育児休業給付等)」 ここでいう被保険者とは、雇用保険に加入している労働者のことです。また、時短勤務(短時間勤務)とは3歳までの子どもを養育している場合、希望により労働時間を短縮して働くことができる制度で、現行では1日当たりの所定労働時間は原則6時間となっています。 会社員で雇用保険に加入している方が育児のために時短勤務を選択すると、労働時間を短縮することで収入が減ってしまうほか、その後のキャリアに影響を与える、育児や家事の負担が女性に偏ったままになりやすいなど、いくつかの課題が指摘されていました。 育児時短就業給付(仮称)について、制度の概要としては時短勤務による収入の減少に対する施策となっていますが、検討されている内容からは他の課題も解決するために、現行の時短勤務制度についても見直しを図り、育児を行う多くの労働者に時短勤務を利用してもらう目的があると考えられます。 具体的にどのような案が検討されているのか、以下で確認していきます。
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