2大会ぶりの単独チーム出場 若狭東が意地のトライ 高校ラグビー
◇全国高校ラグビー大会1回戦(28日・東大阪市花園ラグビー場) ◇○高知中央32―7若狭東(福井)● 【第1回から第103回まで】全国高校ラグビーの軌跡 パスを受けると、若狭東のプロップ寺戸海惺は狭いスペースをスルスルと抜け出し、約30メートルを独走した。0―24で迎えた後半13分に奪った意地のトライ。2大会ぶりに単独チームとして出場した花園に、若狭東は確かな足跡を刻んだ。 前半から、持ち味のグラウンドを広く使う展開力を見せた。得点こそ奪えなかったが、相手をよく走らせた。後半に入ると「相手が疲れている」と選手間で確認し、「強気で攻める」と思いを統一した。殊勲者は172センチ、83キロと「走れるプロップ」の寺戸だが、チームで挙げた得点だった。 前回大会は敦賀工と合同チームを組んで出場した。学校の統廃合によるケースを除き、合同チームが花園に駒を進めるのは史上初だった。 前回大会を終え、若狭東の現チームは3年生7人、2年生8人でスタート。前回の戦いぶりに触発された未経験者や、発足して間もない中学生向けの地元ジュニアチームの経験者ら1年生8人が加わった。 主将のフルバック(FB)辻優年(まさと)は「すべてを先生から教わるのではなく、選手がコーチの目線を持って教え合うようにしてきた」。単独に戻れば合同よりも指導者の数が減る。それを補うための心がけだった。 試合形式の練習では、攻防が一段落するたびに数人の小グループをいくつも作り、改善点を話し合った。選手23人と少人数だからこそ、学年の垣根を越えたチームワークがある。試合ではプレーが途切れたタイミングで選手間で気付いたことを話すのが自然になった。日々の取り組みの延長線上に、寺戸のトライがあった。 トンガ出身留学生を軸にしたパワフルな攻撃に苦しみ、5大会ぶりの白星はならなかったが、選手たちは最後まで体を張り、意地を見せた。その姿はきっとチームの未来につながるに違いない。【石川裕士】