[国スポ少年男子]強度、奪うことへの執念、そして「レンのために」の思いも表現。地元・佐賀県が福島県を下し、初の準決勝進出!
[9.23 国スポ少年男子準々決勝 福島県 0-2 佐賀県 北部グラウンドB] 開催県の佐賀が、初のベスト4進出! 23日、「SAGA2024第78回国民スポーツ大会」サッカー競技少年男子の部準々決勝が行われ、鳥栖市の鳥栖スタジアム北部グラウンドBで開催された福島県対佐賀県は、佐賀が2-0で勝利。佐賀は24日の準決勝で愛媛県と戦う。 【写真】森保監督、スプリンクラーから子どもを助けて猛ダッシュ 佐賀が歴史を変える初の4強入りだ。2006年のU-16大会移行後、佐賀は2012年大会と2018年大会、そして前回の2023大会でベスト8。近年、鳥栖U-18をはじめ、多くの才能をプロの世界へ送り出しているが、選抜チームではU-18大会時代を含めて準決勝まで勝ち進むことができていなかった。 だが、この日、末藤崇成監督(サガン鳥栖U-15唐津)から「偉大な先輩たちがユースにもたくさんいると思うんですけれども、『その先輩たちがやれなかったことをオレ達の代でやろうぜ』っていうことを話したら、選手の目がいつもと違った」という一戦で快勝。負傷欠場している主将のMF大野廉門(鳥栖U-18、1年)をもう一度ピッチに立たせるためにも一丸となって戦い、歴史を塗り替えた。 佐賀の先発は、GKエジケ唯吹ヴィンセントジュニア(鳥栖U-18、1年)、DFは右から坂口昊太郎(鳥栖U-18、1年)、井上叶翔(龍谷高、2年)、ゲーム主将の米湊勇弥(鳥栖U-18、1年)、 鈴木颯真(鳥栖U-18、1年)の4バック。吉原勘九郎(鳥栖U-15唐津、中3)と加藤孝一朗(鳥栖U-18、1年)のダブルボランチ、右SH末次瞬(鳥栖U-18、1年)、左SH中村優希(鳥栖U-18、1年)、そして真殿京佑(鳥栖U-18、1年)と谷大地(鳥栖U-18、1年)が2トップを組んだ。 一方、福島は初めて尚志高の16人による挑戦で2勝。2013年以来2度目のベスト4をかけた一戦だった。この日の先発はGK門井宏樹(2年)、DFラインは右から中村快生(1年)、星宗介(1年)、中村一平(1年)、星山珂凰(1年)の4バック。黒澤瑶(1年)と瀧田悠(1年)のダブルボランチで右SH京増倫泰(1年)、左SH寺島颯人(1年)、今大会2得点の若林衣武希(1年)と須釜朱王(1年)が前線でコンビを組んだ。 前半、佐賀は真殿が収まりどころとなり、中村の仕掛けなどでFKやCKを獲得する。そして、16分、鈴木の左ロングスローがPAへ到達。これをニアの谷が上手く頭を振りながらのヘディングシュートでゴールを破った。2トップの破壊力を強みとする佐賀が、184cmFW谷の一撃で先制。この日の佐賀は守備も素晴らしかった。 前日の山梨県戦は3-2での勝利。末藤監督は「昨日、僕らの反省として、やっぱり僕たちらしい、強度とか、全く良い守備ができなかった。そこを一回、『いい守備から入ろう』っていうことを確認して、1人1人の強度だったり、ボールを取るっていう気持ち、執念みたいなものを共有した」と説明したように、意識の変わった各選手が鋭いアプローチを連発する。 長短のパスを特長とする福島のパスの出どころへ圧力をかけ、バックパスの選択をさせたり、その精度を乱していた。セカンドボールへの反応も速く、末藤監督が「僕が通常見ている選手なので信頼していますし、下手くそですけれどもサガン鳥栖らしさを一番持っている選手なので、緊張していましたけれども良くやってくれたと思います」と評した中学生MF吉原や加藤らがマイボールに変えていた。 福島は右SB中村快が強引に前進しようとしていたほか、左SB星山や瀧田が起点となってボールを繋ぎ、若林がスルーパスにチャレンジ。だが、佐賀は坂口や鈴木の対人守備も力強い。DFラインを統率する米湊と井上も危なげない守りを続け、前半の被シュートはゼロだった。 その佐賀は19分、高い位置での奪い返しからクロスに真殿が飛び込み、22分には末次の左足ミドルがクロスバーをヒット。その後もセットプレーの流れから米湊が強烈なシュートを打ち込むが、福島GK門井がファインセーブを続けて2点目を許さない。 後半、福島は最終ラインまで下がって攻撃に係わる瀧田をより活用しながらのビルドアップ。ボールを保持する時間を増やしながら反撃しようとする。10分には寺島に代えてMF齋藤浩司(1年)を投入。だが、直後の11分、佐賀は中村が見事な右足ミドルを突き刺して2-0とした。 福島は13分、黒澤に代えてFW玉木聖梛(1年)を、17分には京増に代えてMF郡司翔音(1年)をそれぞれ投入。一方の佐賀も13分に谷をFW原田蓮太郎(鳥栖U-18、1年)へ入れ替えた。 福島はセットプレーなどからゴール前のシーンを作り、須釜にチャンスも。だが、注目GKエジケの守る佐賀ゴールを破ることができない。対する佐賀は終盤も運動量を維持し、末次らがカウンターからゴールへ迫った。 試合終盤、福島は中村をMF奥村玲央(1年)へ代え、佐賀は中村、末次、エジケをMF才木隆功(佐賀東高、1年)、DF吉村吏貴(鳥栖U-18、1年)、GK久富一寛(鳥栖U-18、1年)とそれぞれ交代した。スコアは2-0のまま動かず、試合終了。最後まで走り切った佐賀の選手たちに対し、末藤監督は「昨日と違って、やっとらしいゲームができたなっていう感じです」と微笑んでいた。 歴史を変えた今年の佐賀について、指揮官は「今年は個性のある選手が揃っているし、いい意味でデコボコなんですけれども、サッカーで勝つっていう目標に対してはみんなで矢印向けて、一気にやれるような強さがあると思っているんですよ」と説明する。初戦で足首に怪我を負ってベンチにいる大野のために、という思いもチームを一つにしている要因に。この日、谷が先制点を決めた際には「『このポーズをやって欲しい』って言われて、それでみんなでやりました」(谷)というように、足首を触るゴールパフォーマンスをみんなで演じていた。 末次は初のベスト4について、「昨日から『全員で歴史変えに行こう』って、チーム一丸となって昨日から言ってたんで、それが叶って凄く嬉しいです」と喜び、「昨日から全員で『レン(大野)のために』って言ってたし、全員、レンのために今日も頑張っていたと思います。明後日とか、レンが出られる可能性がまだあると思うんで、レンのために明日も勝って、決勝でまた一緒にプレーしたいと思います」と仲間のためにも決勝進出することを誓った。応援の後押しも受ける佐賀が準決勝も突破し、また一つ歴史を塗り替える。