幻のデザート「三不粘」のなめらかさに驚愕! 大阪・南森町の本格中華が食通の心をつかむ
そんな矢谷シェフのモットーは手作り。調味料などできる限りのものを、時間をかけて丁寧に仕込んでいる。また、修業先同様野菜にはこだわり、中国野菜は契約農家から仕入れている。「流行りに流されるのではなく、手作りで自分の食べたいものを作っていきたいですね」と話す。
いただけるお料理はこちら!
「コースでしかいただけないものもありますが、アラカルトもおすすめ」と門上さん。お気に入りの料理も多いが、悩みぬいて選んだのが以下の4皿だ。
辛くない四川料理の古典的なスープ「鶏豆花(ジードゥファ)」。鶏肉を豆腐に見立てている。鶏肉をミンチにして丁寧に卵白などと練って裏ごしし清湯へ入れ加熱することで、豆腐状のものができる。器に入れ、提供前に濁らないようにそっと清湯を注ぐ。
門上さん「熱々をいただくと、茶碗蒸しのような感じで、これもスープかと驚きます。」
店のスペシャリテ。蒸したスペアリブに粉を打って揚げ、玉ネギ、キノコ、唐辛子、ニンニクなどで炒める。10種の香辛料のパウダーで仕上げる。
門上さん「とろとろな感じが素晴らしいです。」
よだれ鶏。八角、ニッキ、陳皮、醤油、砂糖などを煮詰めたベースのタレと辣油、十数種類の香辛料で。こちらは本場の味わいで、辛みを抑えたバージョンもある。
門上さん「辛みとうまみのバランスの良さを実感できます。」
幻とも言われるデザート、三不粘(サンプーチャン)。「箸につかない」「皿につかない」「歯につかない」という3つの「つかない」からの名前だ。
4時間水に浸した片栗粉、卵、砂糖、油とシンプルな素材なので「ごまかしがきかないんです」とのこと。約20分間、こげない温度で、つねに生地をたたいて油を入れて乳化させる。
門上さん「伝説のデザートで、貸切のみで食べることが可能です。」
発見からの進化は続く
矢谷シェフはこれまでも中国のいろんなところを訪れ、食材を見て食べ歩き、新しい発見を持ち帰っては自分の料理へと活かしてきた。さらに「日本にはない料理はもちろん、昔の、今はやらなくなった料理も知りたいので、本などで調べて自分なりに再現しています」と探求は尽きない。昨年はトルコを訪ね、帰国後コース料理を供してみたり、今年はフランスを訪問したりするそう。矢谷シェフがこれからどのように進化し続ける料理を供してくれるか、期待大だ。