情熱が醸す極上の一献 福島県内新酒18銘柄金賞
昨春、8代目社長に就任した新城大輝さん(34)は、純米にこだわった醸造を嘉永蔵で始動させた。香りを立たせるのが難しいため、酒母をつくる段階から温度管理に注意を払ってきた。蔵人の猪股直幸さん(35)は「新たな酒造りで、来年も続けて受賞したい」と力を込めた。 博士蔵の「玄宰」は2年ぶりの金賞。県春季鑑評会の吟醸酒の部でも最高賞を受けており、杜氏の津佐幸明さん(64)は胸をなで下ろした。醸造の一部を見直し、仕込みの水量を減らしてしっかりとした味わいに仕上げた成果が実った。 ■松崎酒造 天栄 変化挑戦 手応えの味 天栄村の松崎酒造の「廣戸川」は2年ぶりに金賞を射止めた。 専務の松崎祐行さん(39)は杜氏(とうじ)として11回連続を目指した昨年、金賞を逃した。長所である味わいの「軽快さ」がマイナスに捉えられてしまったのではないか―。飲み口の軽さを生かしながら、香りの豊かさや米由来の甘味が調和するよう、こうじの量などを見直した。金賞を連続して受けていた時には変えなかった点で、手探りで調整した。
難しい挑戦を、蔵人たちの緻密な仕事が成功に導いた。コメの硬さにも対策を講じた結果、発酵段階から香りが高く、手応えを感じていた。 松崎さんは「市販酒にもこの技術を反映させたい。今年が再スタート。一層質を上げる」と意気込んだ。