FNS27時間テレビ総合演出が語る「霜降り・チョコプラ・ハナコと高校生の熱い掛け算」
◇『向上委員会』「粗品ゲーム」にも注目してほしい 「カギダンススタジアム」以外にも、さまざまなプログラムが目白押しの『FNS27時間テレビ』。全てが注目のプログラムということを承知で、今回、成立してよかったプログラムについて聞いた。 杉野:例えば、『逃走中』はレギュラーで放送しているときは、大きいショッピングモールなどを舞台にしているんですけど、今回は、学校を舞台にして高校生たちを巻き込んだ逃走劇を展開しました。その意味では、『日本一たのしい学園祭!』という番組全体のテーマを、『逃走中』に落とし込むことができてよかったですし。また『ハモネプ』も、普段の出場者は大学生が中心なんですが、今回は高校生チームの対抗戦にしました。 田中:僕も(成立してよかったと思う企画は)個人的には『ハモネプ』ですね。就活で、いろんなテレビ局を受けていたときに、局に関わらず好きな番組を聞かれると、『力の限りゴーゴゴー!!』と答えていたんです。それに小学生の真似事ですが、アカペラグループを組んだりしていました(笑)。 自分が作るものには、必ずそういった自分自身の経験が反映されているし、これまでの経験知を自分が作りたいものに全部反映させる気持ちで取り組んでいるんですけど、間違いなく『ハモネプ』は見る側としてすごく影響を受けた番組なので、自分が作り手として次の世代にバトンを渡す役割を担えるというのは、すごくエモいですよね。 バラエティ好きとしては、土曜日の夜から明け方のプログラム『さんまのお笑い向上委員会』「粗品ゲーム~日本一不条理なお笑いバトル~」も気になるところだ。 杉野:僕は『さんまのお笑い向上委員会』の演出も担当しているのですが、(明石家)さんまさんは「みんながやりたいことをやったらいいと思う。若いMC陣にもとても期待している」と仰ってました。 深夜の「粗品ゲーム」は、粗品さんという芸人を全開にした企画です。こういう企画は、テレビ番組という形では、今まであんまりなかったような気がします。だから、カブりがないというか、見たことのないものにはなると思いますし、確実に笑いがあって面白いものになる。“粗品カラー”一色で、大勢の次世代を担う芸人さんたちと作る3時間なので、期待していただきたいです。 ◇霜降り・チョコプラ・ハナコの魅力とは? 今回、総合司会を務めるのが、霜降り明星・チョコレートプラネット・ハナコ。この3組の印象を聞いてみた。 田中:霜降り明星は“主人公”ですね。『コロコロコミック』の漫画に出てくるような、めちゃくちゃわかりやすい主人公。ハナコは、霜降り明星と並んだときに良いバランスのグループショットになるというか。M-1チャンピオンとキングオブコントチャンピオンで、同年代でありながら真逆のキャラクター。そしてチョコレートプラネットは、霜降り明星とハナコが同期で同年代なので、『新しいカギ』の3組の中では優しいお兄ちゃん的な存在です。 杉野:3組とも全く違う個性。しかもそれぞれの個性が、単体でいるときよりも、この3組が掛け合わされることによって、さらに輝いてる瞬間があるなって思います。もちろん、単体での爆発力もありますが、“霜降り×チョコプラ”とか、“チョコプラ×ハナコ”とか、“霜降り×ハナコ”とか、足し算じゃなく掛け算になっているのを現場で感じています。 田中:「この3組で27時間をやります!」と発表したときに、メンバーも「スタッフ含め、みんなで頑張りましょう!」と言ってくださって。僕らが大事にしているのは、演者と一緒に作っていくということ。もちろん、他の番組でもそうですけど、『新しいカギ』と『27時間テレビ』は、演者とスタッフが1チームで、みんなで一緒に作れているのが特徴だと思います。 杉野:演者の皆さんとは、どちらかからの一方通行ではなく、双方向でコミュニケーションを取りながら作っていくことを大事にしています。 そんな二人に、テレビを作っていくうえでの信条について聞いた。 田中:めちゃくちゃ恥ずかしい話になってもいいですか?(笑)。Base Ball Bearというバンドに『どうしよう』って曲があって、「青春が終わって知った 青春は終わらないってこと」という歌詞があるんですよ。それがめちゃくちゃ好きなんですね。 ほかのインタビューでも「高校生とやるにあたってどうですか?」「高校生の青春を見て、大人も同じ気持ちになりますか?」と聞かれることがあるんですけど、よく考えたら僕は“あのときに大人になった”みたいな意識があんまりなくて。 高校生の頃から何も変わってないんです。 僕は社会人として番組を作っていますが、高校生に届くような番組を作るときに“大人が高校生に寄り添ってますよ”というスタンスではなくて、自分が高校生の頃に持っていた熱い気持ち、情熱を、そのまま注ぐことが大事だと思っています。 杉野:自分が『向上委員会』をやっているからではないんですけど、一番大事にしてる言葉は「行った先に何かがある」ですね。これは学生時代に誰かに言われたことがあって、とにかく食わず嫌いはよくない、という意味で僕は受け取っています。 例えば、23時に友達に呼ばれて飲みに行くのってイヤじゃないですか、本当は(笑)。でも、何があるかわからないから、まず行ってみることが大事だ、ということ。行ってみて、言葉を聞く。興味を持ったか持たなかったかは、その後の問題。やらずにイヤだっていうんじゃなくて、まずやってみよう、という姿勢は大事にしています。 最後に、終わるまで言いづらいかもしれないが……という前置きで、「これが成功したら、今回の『27時間テレビ』は成功」と思うポイントを聞いた。 杉野:うーん……となると、数字(視聴率)以外ですよね?(笑) 田中:具体的に言うならば、最後の「カギダンススタジアム」ですね。 杉野:うん、そうですね。 田中:カギメンバーの頑張りと高校生たちの頑張りが、それぞれどっちも欠けることなく掛け算で合わさったときに、すごくいいショーになるんじゃないかって。やっぱり、そこを成功させたいです。今年の『27時間テレビ』を象徴していると思うので。 杉野:そう、ダンスですね。ダンスの成功こそが、今回の成功。 「最後まで見逃せないということですね」と聞くと、大きく頷いた二人。新しい世代がカギとなる今回の『FNS27時間テレビ』に注目したい。
NewsCrunch編集部