日産がんばれ!「北米市場で大苦戦」「売れる新車がない」…大変な逆風でできることとやるべきこと
■魅力的な新型車の開発が遅れている
これから日産ができる打ち手は少ない。アメリカ市場についていえば、赤字になるとわかっていて巨額の販売奨励金をつぎ込まないと在庫をさばけない状況。魅力的な商品が出るかといえば、ハイブリッドすら2026年までなし。円安の追い風を受けて2023年度は黒字になったものの、1ドル140円を超える円高だと現状で赤字。もしメキシコ工場で生産される日産車に関税が掛かることになればいっそう厳しい。 決定的なのは「売れる新型車がない」ということなのだけれど、理由を聞くと「新型車は内田さんと星野副社長によって次々と潰されました」。 日産の開発陣は優秀で、この5年間に下を見て10車種以上の新型車を立ち上げようとしていたようだ。新車の開発には急いでも4年くらいかかる。その間、クルマビジネスを知らない経営陣が舵を握っていたため、日産車の世界販売台数は落ちていく。 販売台数が下がると、当然ながら収益率だって悪くなる。すると「このクルマで利益を上げられるの?」と経営陣に詰められる。売れるかどうかなんか予想できるワケありません。開発陣が「わからない」と答えるや、「じゃ開発中止!」。2024年に入ってから、日産社内から出てくる話を聞くとそんなプロジェクトばっかりである。売れるかどうかの判断と責任は経営陣が取るべきなのに。 そんなこんなで日産の凋落は2年前からわかっていたし、現在進行形で魅力的な新型車の開発を行っていないため、今後4年は売れそうな商品が出てこない。最悪の状況にならないようにできたのは、日産社員じゃなく(経営陣に逆らった人はすべて放り出されるか左遷されている)、日産経営陣の暴走を見逃した株主やメディアにあると考える(編集部注/す…すみません……)。終わりが見えてきた日産を叩いたっていかんともしがたい。
■日産改革の打ち手はある
ここから考えるべきは「どうやって日産を救うか」だ。メディアとしてすぐにやるべきは「現体制の問題点を徹底的にあぶり出すこと」。さらに現体制を変えなければどうしようもないことをハッキリしたほうがいい。現体制に舵を握らせていたら、さらに被害や被害金額は拡大する。1秒でも早く舵を切りたい。その上でクルマビジネスを知っている経営陣を揃えなければならない。 理想は他の自動車メーカーにいるような、クルマを愛する人の気持ちに寄り添ったセンスを持つ人だ。3~4年にわたって赤字を出すかもしれないけれど、明るさが見えた自動車産業なら投資する人や企業だって必ず出てくる。私だって有能な経営陣が日産の舵取りを始めたら、日産の株を買います。 加えて日産改革の手はいくらでもある。たとえばディーラー。現在も整備部門は黒字。販売部門の赤字をカバーしている。そもそも日産ディーラーはいま有能な人が次々とやめている。車両の説明すら充分にできない状態。販売・営業部門の人材を整備部門に回して、いま日産車を持っているユーザーを大事にする方向に投資すれば、信頼を築ける。 それぞれの分野で抜本的な見直しをすればいいのだけれど、繰り返すが現在の経営陣じゃ無理。夢やワクワク感を感じさせるような人がTOPになったら、即座にベストカーも日産大応援団を立ち上げるんじゃなかろうか。もちろん私も精一杯応援します。