転機となった3年前の「総スカン」ソフトバンク小久保監督、8匹の猫に癒やされ「美しき」パ・リーグ制覇
◆オリックス4―9ソフトバンク(23日、京セラドーム大阪) 美しく大阪の宙に舞った。全幅の信頼を置く主力の頑丈な手に加え、2軍監督時代からともに汗を流した若手の力強い手にも支えられ、8度。小久保監督は「この日のためにチーム全員でやってきた。懸命に戦った選手たちに胴上げをしてもらえて本当に最高でした」。美しく、強いホークスを取り戻す戦いの第一章が開幕戦で初勝利を刻んだ球団発祥の地で完結した。【#OTTOホークス優勝特集】 ■松葉杖でグラウンドへ…近藤が小久保監督と熱い抱擁【写真】 2軍監督から昇格し、就任会見では「美しさ」をチームに求めた。きっかけは昨季、テレビ中継で見た12連敗中の1軍のある試合。緊迫した延長戦で痛恨の本塁打を浴びたが、ベンチの選手たちはどこか緊張感のない表情を浮かべていた。「美しさが欠けている」。強い危機感を抱いた。 迷わず動いた。1軍から4軍まで共通ルールを明文化。チームを引き締める一方、2軍監督時代に培った選手との距離感を大切にした。「(2021年の1軍)ヘッドコーチの時は少し厳し過ぎて、選手から総スカンを食らっていた」。反省から汗にまみれた2軍監督時代は、1軍出場資格のない育成選手に炎天下で1時間以上も打撃投手を務めた日もあった。ファーム日本一に輝き、選手ら全員でバーベキューをした際の写真を大切に保存し、「みんな、ええ顔してるやろ」と目を細めた。若い世代の操縦術も身に付け、1軍の舞台に復帰。「1軍は勝つために動く。一番のテーマは情に流されない」。帰宅後は試合中継映像を早送りすることなく見直し、自身や選手たちの表情にまで注目した。缶ビールが一日のささやかなご褒美だった。 「同じ山を登ろう」と呼びかけ、方向性が定まればマネジメントに注力した。「(野手の起用法など)全部自分が決めていた」というヘッドコーチ時代の反省で2軍監督時代から各担当コーチに信頼を寄せた。開幕から続いた3番柳田、4番山川、5番近藤の中軸もコーチの意見から決断した。「俺がやっていたら5番近藤はあり得んかった。人をちゃんと使うものだとあらためて感じた」と話す。 神経をすり減らす中、自宅では8匹の猫に癒やされた。妻が保護猫の活動を行っており、野良猫を保護して40匹ほど里親に譲渡した。「嫁さんと言い合いになったら必ず(猫が)中に入ってくるんよ。動物ってそうらしいね。普通の会話で盛り上がった時も入ってくるけど」と笑った。 ある激戦の翌日、「これさえなければ快適やのに」と腰をさすった。あおむけにぐっすり眠ると、寝起きから腰の痛みが増す。原因は2軍監督時代に連日にわたり打撃投手を務めたことによる〝名誉の腰痛〟だ。「勝って決めたいという思いがあったので、それが実現できて良かったです」。宙に舞う指揮官は両手を広げ、美しかった。(小畑大悟) 【おすすめ記事 優勝特集】 女性関係の不祥事で大批判…山川穂高を支えた妻の一言、小久保監督の長男&長女が父に贈る言葉、秋山幸二さんが語る小久保采配など西スポWEB OTTO!が総力取材したとっておき優勝記事がたっぷりです。 ▼下記の関連記事から▼
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