<〝史上最弱〟からの挑戦・’21センバツ明豊>’21センバツ明豊/下 自信 成長促した執念 /大分
爆発的な強打が伝統の明豊だが、現チームは安定した投手陣と守備の堅さがチームの持ち味だ。昨秋の九州地区大会は県予選を含む8試合で1失策。堅実なゲーム展開で準決勝まで勝ち進んだ。しかし、準決勝では延長12回の末、2―3で大崎(長崎)に敗れた。 「走者が得点圏に進んでも、あと一本が出なかった。大崎の投手は3連投で苦しかったのに、打ち切れなかった。単純に打つ力がない」と川崎絢平監督は敗因を分析する。 九州地区大会で頂点に立った一昨年は、強打で相手を寄せ付けなかった。打線の物足りなさは致命的だ。準々決勝で本塁打を放ったチームの主砲、黒木日向選手(2年)は「敗戦した準決勝で、自分に2回はチャンスが来たのに、打ち損ねてゴロに終わった。打線が沈黙し相手に自信を与えてしまった」と振り返る。 選手たちは雪辱を胸にバットを振り続けた。明豊の名物練習「500ティー」(500回連続のティー・バッティング)を1日2回こなした。 実戦練習が増えた2月から効果は出始めた。部内の紅白戦で二枚看板、右腕の京本真投手(同)と左腕の太田虎次朗投手(同)から長打を連発し、大量得点を奪った。京本投手は「昨年時点は打線が続かず、得点を奪われることは少なかった。2アウトからの得点もあり、バッターの力とメンタルが全然違う」と目を丸くした。 昨秋は控えだった米田友選手(同)は、紅白戦で満塁ホームランを放つなど急成長した。竹下聖人選手(1年)も成長著しい。これまで黒木選手、東孝太郎選手(2年)、山本晃也選手(同)のクリーンアップが打線を担ったが、競争は激しくなり、誰がレギュラーに選ばれるか目が離せない。米田選手は「紅白戦や練習試合で、自分の打撃力をアピールし、絶対に甲子園に立ちたい」と話した。 更にここにきて投手陣も充実してきた。左右の二枚看板に加え、右腕・財原光優投手(同)も台頭。変則投手で横から投げる力強い球に川崎監督は「2人を追い抜くポテンシャルを秘めていて、先発での起用もありうる」と太鼓判を押す。連戦になれば「三枚看板」が生きる可能性がある。 「過去最弱」と発破をかけられたチームは、執念で生まれ変わった。センバツ出場校の発表前日、卒業する3年から「お前たちは弱くない」と背中を押された。 センバツに選ばれたからには、言い訳はできない。2年ぶりの甲子園でのトーナメントでチームは初の全国制覇を狙う。【辻本知大】