花山天皇の外戚として国政を主導した藤原義懐
2月18日(日)放送の『光る君へ』第7回「おかしきことこそ」では、藤原道長(ふじわらみちなが/柄本佑)への想いを断ち切れずにいたまひろ(のちの紫式部/むらさきしきぶ/吉高由里子)が、道長との間に横たわる身分という名の隔たりを、まざまざと見せつけられることとなった。 ■藤原道長との関係に思いが揺れ動く 花山天皇(かざんてんのう/本郷奏多)が寵愛した女御・藤原忯子(しし/よしこ/井上咲楽)が急死した。悲しみに暮れる花山天皇は、政務への関心を急速に失っていった。 藤原道長と距離を置くことを決意したまひろは、代わりに夢中になれるものを探し始めた。そこで、〝おかしきこと〟を題材とした散楽の筋書きを思いつき、直秀(なおひで/毎熊克哉)ら一座に伝える。まひろの考案した話をもとに上演するやいなや、興行はまたたく間に評判を集めた。 ところが、これが右大臣家の耳に入ると、興行の内容が右大臣・藤原兼家(かねいえ/段田安則)らを笑い者にするものだったため、配下の武者たちが上演を中止させるために乱入した。止めに入った道長は、まひろと再会。混乱から抜け出した二人は、再び気持ちを通い合わせるかに思われたが、そこへ直秀や乙丸(おとまる/矢部太郎)が現れたため、会話もそこそこに別れた。 そんななか、まひろは左大臣家の源倫子(みなもとのりんし/ともこ/黒木華)に打毬(だきゅう)と呼ばれる競技の観戦に誘われる。道長が参加する試合であることに戸惑いを覚えつつ、まひろは会場へ向かった。 試合中の道長の一挙一動に知らず知らずのうちに目を奪われてしまうまひろだったが、試合後に逃げ出した倫子の飼い猫を追いかける。降り出した雨を避けるために建物の中に入ると、そこは試合に参加した道長らの控え所だった。 まひろが隠れているとは知らず、道長ら若者たちは、観戦に訪れていた姫君たちの品定めを始めた。まひろを「地味でつまらない」などと言い、大事なのは女の家柄などという男たちの身勝手な言い草を聞いていられなくなったまひろは、雨の中を飛び出して行った。 ■甥の失脚とともに潔く退陣 藤原義懐(よしちか)は、摂政や太政大臣を務める藤原伊尹(これただ)の五男として、957(天徳元)年に生まれた。母は、代明(よしあきら)親王の娘である恵子女王。姉に、冷泉(れいぜい)天皇の女御で花山天皇を生んだ懐子(かいし)がいる。 972(天禄3)年に従五位下を授かったが、同年に父の伊尹が死去。その後、2人の兄も亡くした。代わりに政務の主導権を握ったのは、伊尹の弟である藤原兼通(かねみち)。後ろ盾を失った義懐は、しばらく不遇の時代を過ごしている。 ところが、姉の懐子が冷泉天皇の女御として師貞(もろさだ)親王を生んでいたことが、義懐の運命を好転させた。979(天元2)年には春宮亮に任命され、表舞台に立つこととなった。