W杯出場決定の新生なでしこジャパンは来夏本番で再び世界で勝てるのか?
試合は追いつかれた直後から、なでしこが最終ラインでボールをキープ。アディショナルタイムを含めた約5分間を、お互いに攻めることなく終えた。大会レギュレーションにより、得点を奪い合ってのドローならば韓国のスコアに関わらず、日本とオーストラリアのW杯出場が決まるからだ。 指示を出した高倉監督も、ピッチで時間を消化するだけだった選手たちも、もやもやした思いを抱いたかもしれない。ただ、今大会の最大の目的はW杯切符を獲得すること。選手たちがプレッシャーから解放されたいま、今後の戦いは新たな成長を導く舞台に変わる。 FIFAランクがすべてではないが、それでも最盛期の3位から大きく後退したなでしこは、来年6月のフランス大会でも苦戦を強いられるだろう。それでも、アジア予選を免除される2020年の東京五輪を最大の目標にすえれば、伸びしろは十分にあると鈴木氏は指摘する。 「来年のW杯までに100%に到達することはちょっと難しい。たとえば守備面の戦術で言えば、オーストラリア戦のように一人ひとりが積極的にプレスをかけていく姿勢だけでなく、組織的に相手を囲んでボールを奪い、カウンターにつなげていく形も作り上げていかなければいけない。 ただ、まさにいまが成長の過程にあり、東京五輪までを長い目で見れば、現段階ではまだ50%くらいじゃないかと。タレントを見れば、2011年のチームと比べてもそれほど悲観する必要もない。W杯出場を勝ち取った経験も、これからの成長に必ずつながっていくはずなので」 今大会はなでしこの連覇もかかっている。日本時間18日未明に行われる中国女子代表との準決勝を皮切りに、世代交代や新陳代謝をさらに加速させ、チーム力を進化させながら結果も求めていく、なでしこの新たなステージが幕を開ける。 (文責・藤江直人/スポーツライター)