工具のハナシ 「スパナ」と「メガネ」どう使い分ける?
とはいえスパナは作業中に外れる危険を極力少なくするため、「アゴの方向に回す」という決まりがあります。なので、締まったボルトを緩めはじめる時や、反対にしっかり締め付ける時など強く力をかける時には、回転方向に注意しましょう。
使い分けが大切
ここまで読むと「すべてメガネレンチで作業した方が良いのでは?」と感じるかもしれませんが、メガネレンチが使えない場所も少なくありません。
たとえばネイキッド車のミラーをハンドルのホルダー部に締め付けているナットは、口の開いたスパナでないと回せません。他にもシフトペダルの高さを調整するためのステップのリンクシャフトのナットも同様で、バイクにはこういった箇所も少なくありません。 というワケで、ボルトやナットを回すには基本的にメガネレンチを使い、メガネレンチが使えない場合のみスパナを使うのが正解でしょう。バイクの場合、使っている個所や構造にもよりますが、大抵のボルトはメガネレンチ、ナットはスパナでないと回せないパターンがあるので、使い分けることが大切です。
便利なコンビネーションレンチ
このように、メンテナンス作業にはメガネレンチとスパナの両方が必要になります。以前(2000年代頃まで)はバイクに「車載工具」が付属していましたが、大抵はスパナでメガネレンチは含まれませんでした。また近年のバイクは、ほとんど車載工具が付属しません。
なので新たに工具を手に入れるなら、作業性や安全性も考えると、片方が口の開いたスパナで反対側がメガネレンチになっている「コンビネーションレンチ」を選ぶのが良いかもしれません。
伊藤康司