「子育てのインフラがなければ、まちに子どもは増えない」 小中学校の再編で大学教授が講演 先行事例紹介し、再編の問題点語る
埼玉県行田市が発表した市立小中学校の再編方針に反対する市民有志がつくる「行田市義務教育学校設置への再編計画」を考える会は、同市佐間の教育文化センター「みらい」で、和光大学の山本由美教授を招いて講演会を開いた。会場には約100人が来場。学校の統廃合が及ぼす影響について研究している同教授は、「子育てのインフラがなければ、まちに子どもは増えない」と懸念を示した。 20校→3校に…行田市、全小中学校を一貫校に 市長選の公約にも 「切磋琢磨には、ある程度の規模必要」 市は今年2月、現在は計20校ある市立小中学校を2034年度までに、9年制の義務教育学校3校に統合、再編する計画を明らかにした。 全国各地で進んでいる学校の統廃合を調査している山本教授は、先行事例を紹介。再編の問題点などについて語った。 義務教育学校は、15年の学校教育法改正で設置が可能となった。同教授は統廃合のプロセスに関して、文科省が地域の合意形成を求めていることに触れ、「あらかじめ3校にすると示しており、スケジュールありきで合意形成がされていない」と指摘。「教育的効果と学校規模との間には関係がないと言われており、経済効率や政治的な思惑で行われている」と述べた。 学区が広がってスクールバスの運行経費が行政の財政を圧迫したり、小中一貫校にすることで6年生の発達に問題が起きたケースなどを例示。山本教授は「統廃合はリスクにもなる。検証してから決めるべき」と強調した。