日本製鉄、「違法な政治的介入」に怒り心頭 会見で“バイデン”呼び捨ても 日米関係への影響懸念 裁判で勝てる可能性は?
■同盟国の日本への「買収中止」は初
小栗委員長 「そしてもう1つ気になるのが、日米関係への影響です。これまで政府機関の審査を経て大統領が買収中止を命じた例は8件ありましたが、そのうち7件が中国の関連企業です。同盟国である日本の企業にこうした命令が出されるのは初めてのことです」 「日米の経済関係に詳しい野村総合研究所の木内登英さんは『日本はアメリカの仲間だと思っていたら実は仲間ではなかったと、日本の企業に大きなショックを与えている。今後の投資や輸出などにマイナスの影響があるのではないか』とみています」 葵わかなさん(俳優・『news zero』火曜パートナー) 「日本とアメリカはこれまで産業などでも深く関わってきたはずです。国同士ではなく友人同士に例えたとしても、不安感や不信感を残したまま関わっていくのは、お互いに良い関係が築けるものではないのかなと思います」 「これからも関わっていく相手同士として、歩み寄ることはできないのかなと思いますね」
■支持基盤の労働組合が強硬に反対
小栗委員長 「そうなるといいのですが、なかなか難しいようです。日本の外交関係者は今回の判断について『バイデン大統領の政治的な動きでしかない』と話しています」 「1つには、バイデン大統領の支持基盤である鉄鋼業界の労働組合が強硬に反対していて、バイデン大統領は組合を怒らせたくないという判断だということです」 「そして、どうせトランプ氏が大統領になったらアメリカ一国主義で買収に反対するので、ならば先んじて自分のレガシー(遺産)づくりをしたかったのではという見方もあります」
■強い対抗心…トランプ氏の判断は
藤井キャスター 「今後の裁判の見通しはどうでしょうか?」 小栗委員長 「アメリカ政府の対応に詳しい井上朗弁護士は『(日本製鉄側が)勝てる可能性は非常に低い。ただ、提訴したことは大統領の判断に政治判断が入っていたことを強く訴えかける意味はある』と話しています」 藤井キャスター 「もし日本製鉄の買収の話がなくなれば、困るのは自力での再建が難しいUSスチールです。バイデン大統領への対抗心が強いトランプ氏が判断を覆す可能性はあるのか。1月20日にはトランプ大統領が誕生します」 (1月7日『news zero』より)