「わが家は狙われていたのかも…」ホストに狂った愛娘の“1800万円”を肩代わりした母の悲痛
わが家が狙われていた?
とはいえ、これで一件落着ではなかった。ホストクラブからは、佳代さんに“売掛金を今すぐ払え”と連絡があった。 「仕方ないので現金をかき集め、1000万円用意しましたよ。当初は振込先を指定されたのですが、よくわからない、ネット系の制作会社の口座だった。払った証拠がほしかったので、領収書をもらうため、手渡しで持って行くことにしました。500万円ずつふたつの茶封筒にわけて。主人を連れて行くと何をしでかすか分からないので、店には私と娘で行きました」 すぐに大金を用意できた佳代さんの財力を疑問に思うかもしれないが、じつは彼女は、開業医。彩菜さんがコトを起こしたのは、ちょうど自身のクリニックを立ち上げた時期だった。そのため開業資金のための現金が手元にあったのだという。ちなみに、彩菜さんも一浪した医学部生だ。 ゆえに、 「最初からわが家が狙われていたのかもしれません。娘は学校のことを話していたでしょうし、私の仕事も喋っていたのかも。ただでさえ珍しい苗字ですから、調べようと思えば、親が医者であることは分かったはず。そこをつけこまれて、無茶な売掛金を課しても大丈夫、と思われたのではと今になっては考えています」
手元には3枚の領収書
佳代さんが向かったのは、職安通り沿いのビルに入居しているホストクラブだった(系列グループのHPに店の情報が今も残っているものの、店そのものはすでに閉店している)。佳代さん母娘を出迎えたのは、店長とレジ係、そして今回の事態を引き起こした彩菜さんの担当ホスト「ハルト」だった。母の佳代さんからすれば、娘を陥れた憎き存在である。 しかし、 「なんて言おうか考えて向かったのですが……何も言えませんでした。『敵はこの人たちじゃない』とひと目見て思ったんです。店長とレジ係は若く、オーナーなど、もっと“上”に悪い人がいるはずだなと。ですから淡々と清算しました。ハルトには『もう娘には会わないで』と、LINEを消させて」 この1週間後「未精算の分があった」と再び呼び出され、追加で約200万円の支払いを求められる出来事があったが、佳代さんは前回と同じように対応した。結果、彼女の手元には、計3枚の領収書が残っている。2022年1月31日付の438万3300円、2月23日付の500万円、2月25日付の234万円の計1172万3300円だ。日付は店側の締め日の都合で決められた。収入印紙もなければ、うちの1枚は店印すらない杜撰な領収書で、果たして法的な効力があるのかどうかわからないのだが……。 彩菜さんにはホスト通いは止めるよう言い、実家に連れ戻した。本人の希望で大学も中退。これからの人生を考える時間をもってほしいと、親としては願うばかりだったという。