ドイツの世界的デザイン賞を福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館が受賞 国内でも2つの賞、戦国期の空間演出評価
福井県立一乗谷朝倉氏遺跡博物館(福井市)が、建物や展示のデザイン性、技術力などをたたえる国内外の三つの賞を受けた。同館は「受賞を励みに、より楽しい博物館にしていきたい」としている。 デザイン分野で世界的に権威のある「iFデザインアワード2024」は、県内施設として民間を含め初受賞となった。ドイツを本拠地とする団体が1953年から開催しており、県内関係ではこれまでに眼鏡フレームや越前打刃物が受賞している。 今回は9分野82カテゴリーに世界各国から1万件を超える応募があり、同館は「インテリア/建築」「文化的展示」の二つのカテゴリーで選ばれた。 同館は、金製の刀装具「獅子目貫(ししめぬき)」をはじめ国重要文化財を含む出土品など約800点のほか、建設工事で見つかった「石敷遺構」を発掘時のまま屋内展示。城下町を再現した巨大ジオラマや5代当主朝倉義景の居館の一部を原寸再現した「朝倉館」を含め、「当時の人々の暮らしや武家文化の威厳を伝える空間を演出している。古文書などだけでは分かりにくい当時の暮らしを体感・探究できる」と高く評価された。 このほか、日本商環境デザイン協会と日本空間デザイン協会の「日本空間デザイン賞2023」の「博物館・文化空間」分野で、「想像力を刺激し、戦国時代に思いをはせる没入空間を創出した」として、入賞に当たる「ショートリスト」に選ばれた。 優れた建築物が対象の日本建設業連合会の「第65回BCS賞」にも輝き、田園の中に切り妻屋根風の建物がそびえる様子が「悠久の時間を感じさせるたたずまい」と評価された。 同館の清水邦夫館長は「遺跡へのゲートウェイの位置づけとなる施設ではあるが、デザイン面などが評価され、歴史ファン以外の人たちが訪れるきっかけになれば」と話している。
福井新聞社