2023年の「不適切会計」開示は過去 2番目 2年連続増の 60社・62件、最多社数はサービス業
開示企業数 2023年は60社(62件)
上場企業は国内市場の成熟で、製造業を中心に海外市場へ積極展開している。これに伴い、2021年までは海外子会社や関係会社で不適切会計の開示に追い込まれた企業が目立ったが、2023年は国内外連結子会社などの役員や従業員による着服横領が目立った。 2023年11月30日、東証は不動産再活事業の(株)アルデプロ(東証スタンダード)に対し、適時開示規則に違反し、株主や投資者の信頼を毀損したとして特設注意市場銘柄に指定、上場契約違約金2,880万円を徴求した。 アルデプロは不動産売買が、循環取引の一部を構成するものであったこと、また、循環取引に関し実態のない売上高、売上原価及び営業利益を計上する会計処理を行い、2023年7月期第3四半期の決算短信で上場規則に違反した虚偽の開示を行っていたことが判明した。 アルデプロは当該不動産売買に関する適切な記載を行っておらず、上場規則に違反した開示を行っていたことが明らかとなった。このため、東証はアルデプロが誤った決算情報を開示し続けたとして、アルデプロ株式を特設注意市場銘柄に指定し、上場違約金を徴求した。
内容別 「誤り」が最多の34件
内容別では、最多は経理や会計処理ミスなどの「誤り」で34件(構成比54.8%)。次いで、子会社・関係会社の役員、従業員の「着服横領」が19件(同30.6%)だった。 「会社資金の私的流用」、「商品の不正転売」など、個人の不祥事にも監査法人は厳格に監査している。「架空売上の計上」や「水増し発注」などの「粉飾」は9件(同14.5%)だった。 ITbookホールディングス(株)(東証グロース)に対し、証券取引等監視委員会は売上過大計上などの虚偽記載があったとして約1億円の課徴金納付命令を出すよう、金融庁に勧告した。
発生当事者別 「会社」が28社でトップ
発生当事者別では、最多は「会社」の28社(構成比46.6%)だった。「会社」では会計処理手続きなどの誤りが目立った。次いで、「子会社・関係会社」は16社(同26.6%)で、売上原価の過少計上や架空取引など、見せかけの売上増や利益捻出のための不正経理が目立った。 「従業員」は15社(同25.0%)で、外注費の水増し発注を行ったうえで、その一部をキックバックし私的流用するなどの着服横領が多かった。