ほうとうの麺にラーメンのスープ、新たなご当地グルメとして定着、ラーほー 山梨・笛吹 ~自慢の推し麺~
桃やブドウの生産が盛んで、温泉郷の石和(いさわ)温泉があることでも知られる山梨県笛吹市に、「ラーほー」という麺料理がある。山梨県を代表する郷土料理「ほうとう」の麺にラーメンのスープを組み合わせたもので、笛吹市観光物産連盟が平成30年に開発した。ラーほーを提供する店はいまでは同市内を中心に20店以上あり、店ごとにいろいろな味を楽しめるのが特徴で、新たなご当地グルメとして定着しつつある。 ラーほーが誕生したきっかけは、山梨県民が外食時にほうとうをあまり食べない、とされたことだった。 飲食店でのほうとうの価格帯は一般的に1千~2千円で、日常的に食べるにはちょっと高い。ほうとうをもっと気軽に、もっと多くの人に食べてもらいたいとの思いから、「1千円以下のメニュー」として考案されたのがラーほーだ。 笛吹市の定食屋「とんかつ ほさか」は、ラーほーを扱う店の一つ。「しょうゆ味」と「塩味」に加え、夏場には「冷やし」と、合計3種類のラーほーを提供している。麺は、ほうとうと同じく山梨県の郷土料理である「おざら」で使われる細めの麺を採用。店主の保坂哲さん(69)によれば「普通のほうとう麺だとスープと絡みにくい」といい、試行錯誤を重ねてこの麺にたどり着いた。 味の決め手はだし。アゴ(トビウオ)、鶏ガラ、ニンニク、ショウガ、ニンジンなどに加え、とんかつで使う豚ロースを使う。このだしを、しょうゆ味と塩味の両方のスープに用いる。 しょうゆ味は、しっかりとしたスープが麺とうまく絡み合い、奥深い上品な味わいとなっている。自家製の鶏チャーシューがインパクトを出している。スルスルと食べ進めるが、気が付けば満腹になっている。 塩味は、野菜炒めと細めの麺、あっさり塩味のスープがマッチした、野菜たっぷりのタンメン風。6月から提供を始める冷やしはサラダ感覚という。「3種類のラーほーを提供するのは当店だけ」と保坂さん。 ラーほーには味付け卵を乗せるのが定番とされるが、とんかつ ほさかでは「(笛吹市には)石和温泉があるので、温泉卵にこだわる」(保坂さん)。ランチではライスがつき、温泉卵の卵かけご飯にして食べる人も多いという。