人気モデルが7年ぶりにフルチェン! BMW 8代目5シリーズの走りをチェック!!
――気になる動力性能は? 渡辺 523iのエンジンは、2リットル直列4気筒ターボにマイルドハイブリッドを装着。決してパワフルではありませんが、実用回転域の駆動力に余裕があり扱いやすい。 ――動力性能は物足りない? 渡辺 個人的には懐かしい感じでした。先ほど話をした5シリーズが5ナンバーサイズだった頃のドイツ車は、性能がおとなしいエンジンに、優れた走行安定性と乗り心地を組み合わせていました。足回りがパワーに勝るクルマが多く、安全性が優れ、エンジン性能をフルに引き出す楽しさも味わえました。 523iにはそれを感じます。ターボのブースト圧(過給圧)をむやみに高め、フロントマスクをド派手に飾ったドイツ車は賢そうには見えません。523iのようなグレードにこそ、BMWの本質が宿ります。 ――ズバリ、激推しカー? 渡辺 そこは微妙です。5シリーズは確かに優れたクルマですが、中古車市場の人気と数年後の売却額が高くない。そうなる理由は、まずボディサイズです。ドイツ車は都市部で売れている。つまり、マンションなどの集合住宅に住む顧客が多いわけです。 ――ふむふむ。 渡辺 ですが、全長が5m、全幅が1.9mの5シリーズだと集合住宅の立体駐車場に入らない可能性もある。加えて、5シリーズはボディが大柄な割に、外観が弟分の3シリーズに似ていて、高そうなクルマには見えないので、中古車を求めるユーザーも限られて高値では売りにくい。 ――なるほど。 渡辺 ただし、外観は控えめでパワーも必要にして十分。その上で走行安定性と乗り心地が熟成されたLサイズセダンが欲しい人が購入すれば、廃車まで乗り続けたいと思わせる逸品です。ホレた相手と一緒になるのに、別れるときの価値なんて考えませんよ。 ■このまま市販化希望のギンギンEVセダン!! 昨秋に開催されたJMS(ジャパンモビリティショー)2023でBMWが公開した試作EVセダン「ビジョン・ノイエ・クラッセ」。ノイエ・クラッセとは、1961年にBMWが発表した5シリーズの前身となったモデルの名称。ちなみにビジョン・ノイエ・クラッセは2025年に市販予定。このまんまの姿で出てこいやー! 撮影/望月浩彦