MLBスカウトに聞く。涌井×平野◎牧田○ メジャー挑戦表明3人本当の評価
「彼のフォークボールは、こっちでも十分に通用するだろう。ただ、日本のタイミングで落とすと、大リーグのバッターは振らない可能性があるので、どこに落とせば手を出すのか、オープン戦などで奥行きを調節する必要がある。それが開幕までに把握できれば、セットアッパーとして十分に計算できるのではないか」 ニーズの面でも、心配はない。 「4~5年前まで、7~8回のセットアッパーは若い選手に任せる傾向が強かったが、今は、セットアッパーの重要性が増し、それなりに実績のある投手を多く抱える傾向にある」 ア・リーグのスカウトも、「セットアッパーとして、使える」と評価し、続けた。「チームによっては6~7回かもしれない。でも、8回を任せられるのではないか」 となると、相場も悪くはない。 ア・リーグのスカウトは、「2年総額400万ドル(約4億4000万円)~500万ドル(約5億5000万円)+出来高」と予想。争奪戦になれば、「3年目のオプションがつくのでは」と話した。 プレーオフでセットアッパー不在に苦しんだカブスなどは、狙っていてもおかしくない。レッドソックス、カージナルス、マリナーズ、レンジャーズあたりも動くかもしれない。 さて、先発の涌井に関しては、評価が厳しい。 まずは、ナ・リーグのスカウト。 「20代前半の頃の涌井を覚えている。あの時に彼がこっちに来ていれば、年俸1000万ドル(約11億円)は軽く超えただろう。力で抑えるタイプではない。となると、制球力と駆け引き。岩隈久志のようなスタイルを確立できれば、こっちでも通用するだろうが、岩隈はある意味、別格だ。適応に時間を要するかもしれない点で、リスクが大きい」 評価的には「先発4~5番手」。となると年俸はせいぜい200万ドル(約2億2000万円)~300万ドル(約3億3000万円)が相場だが、一方でア・リーグのスカウトは、「日本に残った方がいい」と話した。 「あの球では、こっちでは厳しい」 かつてクローザーを経験するなど汎用性もあるが、例えば、先発5番手を複数で争う状況でも来るのかーーという面でも、疑問を感じているようだった。 さて、評価通りなら、平野がまず決まりそう。牧田は、新ポスティング制度次第。涌井は、それなりに厳しい交渉を覚悟しなければならないのかもしれない。 (文責・丹羽政善/米国在住スポーツライター