疲労しやすくなった人の体に起きている「倍速老化」という症状
疲労や衰えを急に感じるようになったり、病気や不調、痛みが急に悪化したり種類が増えたり――。何か思い当たることはないでしょうか?こうした方の体には、一般的な老化とは一線を画した『倍速老化』が起きているおそれがあります。 【写真】「転んで死ぬことになった」60代以上の人たち…その悲しすぎる結末 輸血によるC型肝炎の感染撲滅に貢献したことで、世界的な評価を得た医学博士・飯沼一茂さんの著書『倍速老化』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成し免疫の知られざる一面についての解説をお届けします。
老化と免疫の深すぎる関係
一般的な老化より急激に老いが進む「倍速老化」は、血液や血流を含む体内の環境が悪化したことで生じる「免疫暴走」から起きる現象です。 そのお話をするために、まずは少しだけ免疫の知られざる一面について、ご説明させてください。 「免疫力を上げる」「免疫力を高める」──。 どちらもよく使われる言葉ですが、これらは誤解を招く表現でもあります。「免疫力を上げる」と聞くと、多くの方は体内に侵入したウイルスや細菌などへの攻撃力を上げることをイメージされるのではないでしょうか。しかし、実際は違うのです。 このような誤解が広まった背景としては、免疫があまりに多種多様な体の機能に関わるだけでなく、最新の知見がつねに出続けている分野なので、医師ですら追いかけ続けるのが難しいことが大きいように思います。 免疫について一つ説明を始めると、そこから派生する内容が膨大なため説明する側も端折りがちですし、聞く側も手短にまとめたがる。それをメディアがさらに単純化して取り上げることが、免疫の理解を限定的にしているのかもしれません。 テレビや雑誌の取材を多数受けてきましたが、10月には「これからインフルエンザが流行するので免疫力を上げておかないとダメですよね」と聞かれ、2月になると「免疫が過剰に反応すると花粉症になっちゃうんですよね。免疫力を下げる方法はありますか」などと聞かれます。 そのような質問を受けるたびに「10月と2月に分けて取材するのは間違っていますよ、まず免疫のしくみを理解してください」などとお伝えするものの、免疫のイメージというものが固まっているからか、なかなか根本的な内容にたどり着けません。免疫が持つ機能の大事な部分は、まだまだ広まっていないと痛感するばかりです。 おそらく多くの人にとっての免疫は、こうして「外敵を攻撃する力」としか認識されなくなっていったのでしょう。 たしかにウイルスなどが体内で猛威を振るうときに、それらを攻撃する力を上げることは大事です。しかし「倍速老化」状態の体においてもっと大事なのは、免疫を「制御」する力なのです。