映画「十一人の賊軍」で山田孝之と仲野太賀が魅せる覚悟をキメた人間の生き様
ただその前に、「期待感に塗れ」ている理由を語っておきたい。本作は、「⽇本侠客伝」シリーズや「仁義なき戦い」シリーズなどで一世を風靡した脚本家・笠原和夫が、1964年に執筆したという幻のプロットをもとにした物語だ。実に60年の時を経た映画化となる。 【写真7枚】実力派俳優、スタッフが揃った「⼗⼀⼈の賊軍」のシーンカットを見てみる!(C)2024「⼗⼀⼈の賊軍」製作委員会 メガホンを取るのは白石和彌監督。そして企画・プロデュースは紀伊宗之、脚本は池上純哉。映画ファンならピンと来た人もいるだろうが、大ヒットヤクザ映画『孤狼の血』チームの面々である。 また、主演は山田孝之と仲野太賀の二人。その脇を、尾上右近、鞘師里保、佐々木宝、千原せいじ、岡山天音…と実力派が固める。これは期待するなというほうが難しい。
日本史上最大の内戦・戊辰戦争。新政府軍に勝利をもたらした、とある藩の裏切り
本作の舞台は1860年代後半。戊辰戦争のさなかである。新潟にある新発田藩は、旧幕府派から新政府軍(官軍)への寝返りを密かに画策していた。その中心にいるのが、老中・溝口内匠(阿部サダヲ)だ。 しかしそんな折、旧幕府派の奥羽越列藩同盟軍が新発田に出兵を求めて軍を率いて押しかけてくる。一方、新政府軍も新発田に向かってきており…。 ●官軍先方総監督府・参謀を務める山縣狂介(玉木宏)は、物語の大局を動かすキーパーソンだ。 両軍が新発田で鉢合わせしては、城下が戦火に包まれてしまう。そこで考案されたのが、街外れの砦を死罪を受けた者たちで構成した賊軍(山田孝之ほか)と、藩士から成る決死隊(仲野太賀ほか)で守護し、新政府軍を一時足止めする作戦だった。 賊軍に与えられたミッションは、奥羽越列藩同盟軍が城下から引き上げるまで新政府軍の進軍を砦で止めること。 「成功の暁には無罪放免」と言い渡された罪人たちは、命を賭けた危険な作戦を遂行できるのか。 新発田藩の重鎮、奥羽越列藩同盟軍、新政府軍、そして11人の賊軍、それぞれの思惑と執念が絡み合う壮絶な戦いが描かれる。 砦における肉弾戦と、溝口を中心とした城下での知略戦。この2軸の展開が『十一人の賊軍』の最大の特徴だ(その分、上映時間は155分と長いのだが)。 ●新政府軍から砦を死守する賊軍たち。数々の命懸けの死闘が繰り広げられる。