“解釈改憲”で同性カップルの結婚は実現できるか?
アメリカの女優ジョディ・フォスターさんが今年4月、女性との結婚を発表するなど、海外では同性婚を認めている国・地域は少なくない。しかし日本では、これまで活発な議論が行われているとは言い難いのが現状だ。中でも、憲法24条の「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立」という一文が、ひとつの壁とされる。集団的自衛権に関しては、安倍首相は解釈改憲を持ち出した。24条は「同性婚も含む」と、解釈改憲できないのだろうか? 日本ではこれまで、同性カップルが公に婚姻届を役所に提出する事例はあまり聞かれなかった。ただ、一部報道によると、青森市で6月上旬、女性同士のカップルが市役所に婚姻届を提出。これに対し、市役所は「憲法24条」を理由に受理しなかったという。一方、欧米では性的少数者に対する理解が進んでおり、米国のオバマ大統領を始め、多くの首脳らが「支持」を打ち出しているのと対照的だ。日本国内でも、性的な少数者は全体の5%程度を占めるといわれる。なのになぜ、日本では同性婚の議論が盛り上がってこなかったのだろうか? 同性結婚が認められる社会を目指す非営利団体「EMA日本」理事長の寺田和弘さん(40)は、3つの原因を挙げる。「性的なことは話したがらない風潮が日本人にはあるのが一つ。また、日本人は、他人と違っていることを嫌う。少数者が認められづらい。三つ目は、キリスト教国ではかつて同性愛行為そのものを禁止する法律があった。それをなくそうという運動が19世紀からあり、歴史が古い。日本にはそういう背景がなく、性的少数者は目立たなかった」と説明する。 そうした中、憲法24条を理由に同性の結婚が認められないことについて、寺田さんは強い懸念を示す。「24条は、男女と読めなくもないが、GHQの英文憲法草案を見ると、男女の平等を明確にうたっている。憲法を作った70年前には同性婚は想定もされておらず、逆に否定もされていなかった。だから、24条を理由に同性の結婚はできない、というのは間違っている」と主張する。 このため、EMA日本では憲法を問題にしておらず、「男女の夫婦を前提にしている民法の規定を、性を中立的に読み替えるなど改正すれば実現できる」との立場だ。そもそも、日本での憲法改正は戦後一度も実現していないように、あまりにもハードルが高い。