子どもの欲求、つぶしてませんか? 親子の“対話”…互いを認め合う時間を
■豊かな子ども時間を
豊かな子供時間って本当に必要なんですよね。大人の干渉、規制から逃れた子どもは一見「無為」に過ごしているように見えるが、いろんなことが頭の中で回って、体を動かしてこそ、この世界を探索できるわけです。そういう子どもの時間ってとても大事で、「こんな無駄な時間じゃなくて、今は勉強や習い事をさせなきゃ」と私達は思ってしまうけど、子どもが夢中になっているものをまず大事にしたい。 例えばゲームや動画などに「依存」したらどうするのかと言われますが、何かに依存するのは、苦痛を緩和するためであって、没頭して楽しんでるわけじゃないといいますよね。孤独とか自己肯定感が低いとか。逆に言うと、豊かな子ども時間があり、尊重される中で育って共に探求する仲間がいると依存症には原則的になりにくい。信頼、承認されて育った子でゲームにずっと依存するって、あくまで私の経験ですが出会ったことがないですね。ゲームが大好きな子が依存というのではなくて、本当にそれを探求、追求しているというケースはありましたけれども。
■ルールをどう作る?
ゲームや動画を見る時間など家庭内などのルールに関してですけど、子どもと相談し一緒に決める。それで決めたら、それが絶対ではなくて、ちょっとずつ運用しながらいい塩梅(あんばい)を考えていく。ルールは一方的に与えられると「どうやってごまかそうか、うまく破ってやろう」と考えるが、自分も一緒に決めたら責任を持って守ろうと思うようになりますよ。
■子どもの本能的欲求とは
デューイという20世紀の哲学者、教育学者が「子どもには4つの本能的欲求がある」と言っています。それは知りたい、作りたい、コミュニケーションしたい、そして自己表現の欲求「こんなの作ったよ、見て見て」というような。ところが、これが大人あるいは学校などによって抑えられちゃっているところがあるんじゃないの、とデューイは言っている。 例えば「これ、知りたい」と言っても、「今はそんな時間じゃありません、座って教科書を開きなさい」と言う。何か物を作っていると「何を勝手なことしてるんだ」とやめさせるとか。本来はこれらの本能的欲求を最も大事にした学びが求められるはずですけど、私達が欲求をつぶしちゃってないだろうかと自覚するのが、まずは、大事かなと思います。 その上で何ができるかというと、まずは「遊びの時間」を大事にする。2つ目は、子どもが伸ばしているアンテナに引っかかるように面白いものを紹介する。ただし強制せず「引っかからなかったらそれでもいいや」ぐらいの感じで。「大人時間」で子どもを動かすと、子どもが自分でアンテナを伸ばす時間がなくなってしまう。そして3つめは、子どもが興味を持った事柄で本物との出会いの機会を考える。世界一のスケボー選手とか、恐竜に詳しい本物の科学者とか。ただ、これもやりすぎに注意ですよね。