賞金総額2000万円! 受賞前から“稼げる”文学賞を「ピッコマ」が立ち上げたワケ 受賞のコツも初公開
■どんな作品がピッコマノベルズ大賞に選ばれる? 受賞のコツを初公開!
――どんな作品を書けば受賞しやすいか、こっそり教えていただけませんか。 斉藤:では、せっかくの取材なので蔵出し情報を……(笑)。応募作品は、基本的に週刊連載になりますので、毎週ちゃんと読んでもらえる作品であるかどうかが一つのポイントです。各話ごとに、お話の“引き”を作ることが大事になってきます。この点、引きをしっかり作れていた作品が連載中の読者からの反応が良く、継続して読まれている印象を持ちました。 あとは、ノベル作品だからといって日本のライトノベルの流行りだけを意識しすぎないこともポイントだと思います。例えば、「悪女」というテーマは異世界ファンタジー作品のテーマとしてすごく人気がありますが、日本のライトノベルで人気のある「悪女」と、SMARTOONで人気の「悪女」は微妙に違いがあります。ピッコマの場合SMARTOON読者も多いので、読者審査員の嗜好を想像してどのタイプの「悪女」を書くか戦略的に選んでもいいと思います。 でも、まずは応募要項にあるようにきちんと20話が揃っていて、字数やテーマなどの条件に沿ったものであることが大前提です。第1回でも、そんなに多くはありませんでしたが、条件を満たしておらず1次審査に出せなかった作品もありましたので、よく要項を確認していただきたいです。 受賞作品を決める2次審査では、読者の方が今後も楽しんでくれて、好きになってくれる作品かどうかという点を一番重要視しています。ストーリーが完結していない状態の20話までを応募していただくので、その後のストーリーも面白くなりそうかどうかは大事な点ですね。 そして、実は、ピッコマが考える読者の方が好きなものを募集テーマとして選んでいるので、テーマに忠実に書いていただければ、読者の心も掴めるのでは。特設ページではそれぞれのテーマでの人気作品も紹介していますので、読んでいただければきっと参考になると思います。 ――第1回では『年下夫の未来のために、離婚状を置いて出ていった結果』(朧月あき・著)という作品が大賞となりましたが、どの点が優れていたのでしょうか。 斉藤:他作品より特に抜きん出ていたのは、読者を飽きさせない工夫ですね。これが凄かったです。1次審査の読者審査員は、各作品20話もあるので、つまらなかったり飽きたりすれば途中で読むのをやめてもいいんです。そんな条件でも読者によく読まれたのは、1話ごとに飽きさせない工夫をし、さらに主軸となるストーリーも魅力的だったからでしょう。読むのが止められなくなる作品でした。