『ビリオン×スクール』松田元太の大粒の涙と情熱が周囲に伝播 志田未来の“初めて”の姿も
ドラマ『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)は第7話より新章に突入。「VS校長編」と題して、加賀美(山田涼介)の過去を知る校長の真紀子(水野美紀)がついに動き出す。 【写真】馬嶋(工藤遥)と話す光井(志田未来) 真紀子が校内放送で呼び出したのは、芹沢(木南晴夏)。意外な組み合わせのように思えるが、真紀子は開口一番に「全部、知ってるのよね? 私と加賀美君のこと」と亡き加賀美の父・治(市村正親)との繋がりを芹沢に再認識させる。加賀美は発明家として絵都学園のデータを調査用に採取するために正体を隠し、教師として赴任してきたが、その“実験”を真紀子は把握している。真紀子が加賀美を追い出そうとしているのは、彼の記憶が蘇ると真紀子にとって厄介だから。ゼロ組の生徒で一人娘である雪美(大原梓)も知らない、真紀子の過去は忘れ去られた加賀美の記憶に眠っているということだろう。 劇中には加賀美が母(星野真里)と過ごした日のことを思い出すシーンがある。「加賀美グループ採用基準指南書」のファイルを開く加賀美は、父が理想の人物だと母に伝えるが、それに母は「理想を追うことはいいことよ。だけど覚えておいて。理想っていうのは……」と教え、そこで描写は途切れる。その記憶の続きは、「高すぎる理想は現実を不幸に感じさせてしまう。だったら理想は下げてもいい」「届きそうな理想を追い続けることで、いつかは本当の理想に近づける」という内容の言葉。自分が今受け持っている生徒だけでなく、卒業生・馬嶋(工藤遥)との問題まで抱える光井(志田未来)に、加賀美が送ったメッセージだ。 恩師を騙し、ATM代わりにしてきた馬嶋へ光井は「そのクソみたいな人生、自分でなんとかしなさいよ!」と叱責する。温厚で真面目な光井が初めて声を荒げた瞬間だ。これまで一人ひとりの生徒にスポットライトが当たってきたが、第7話から新章突入ということで構成も若干変わっている。言ってみれば今回は光井がその主役なのかもしれないが、もう一人活躍していたのが、紺野(松田元太)だ。 加賀美グループの採用テストでも使用されている適職診断テストをゼロ組の生徒が受けるのをきっかけにして、紺野は就職面接へと向かうこととなる。そこで馬嶋が起こす事件の影響を受け、紺野は足止めを食らうこととなるが、それでも紺野は加賀美を信じて待つことを選ぶ。公式SNSでも松田元太の演技が称賛されているが、紺野の大粒の涙と情熱が西谷(水沢林太郎)や梅野(上坂樹里)らへと伝播していく、ここまでの積み重ねも感じさせる印象的なシーンだった。 屋上でフラッシュバックする加賀美の幼い記憶。前回ティーチ(安達祐実)によって明かされた「校舎の屋上からの転落」「損傷した脳機能」「生活に支障をきたすレベルの障害」「手術による再生は不可能」「電子機器を埋め込む手術を行う」という断片的な過去の一部の中にもその事実は存在している。スポーツ大会が行われる次回の主役は城島(奥野壮)。いよいよ更生すべき生徒も残り少なくなってきた。
渡辺彰浩