「反LGBTQ+の態度の表れ」──LGBTQ+ミュージアムがフロリダ州観光局との関係を解消
フロリダ州の高級リゾート地、フォートローダーデールにあるストーンウォール・ナショナル・ミュージアム・アーカイブス・アンド・ライブラリー(SNMAL)が、フロリダ州観光局(ビジット・フロリダ)の会員資格を返上した。米アドボケート誌の取材記事によると、観光局のウェブサイトからLGBTQ+トラベルのセクションが「ひそかに」削除されていたのが理由だという。 当該セクションの削除を受け、SNMALはフロリダ州観光局の年会費475ドル(約7万円)の払い戻しを要求。観光局は返金を行ったとしている。SNMALは長年、観光局と協力関係にあったが、LGBTQ+のコンテンツがなくなった以上、予算を他に振り向けるべきと幹部たちが判断したという。 SNMALエグゼクティブ・ディレクターのロバート・ケステンは、アドボケート誌にこう答えている。 「私たちのような小さな非営利団体が会費に見合うサポートを得られないのなら、その分の予算を自分たちでもっと有効に使います」 フロリダ州ではこのところ、芸術文化助成金の削減で物議を醸したほか、性的指向や性自認に関する話題を授業で取り上げることを規制する「ゲイと言ってはいけない(Don’t Say Gay)」法(正式名称は「教育における親の権利法」)など一連の反LGBTQ法案を可決したことで批判を浴びている。 同州はまた、未成年のトランスジェンダーに対して自認するジェンダーのホルモンを投与する医療を禁止。さらに、ジェンダーレストイレの制限やLGBTQ+をテーマとした書籍の排除を行っているが、最近になり、LGBTQ+関連書籍を授業で使用することに限って禁止することが合意された。 同性愛者であることを公表している民主党のフロリダ州上院議員、カルロス・ギレルモ・スミスは、アドボケート誌にこう語っている。 「州観光局がLGBTQの観光客向けページやコンテンツを削除したのは、フロリダ州はLGBTQを歓迎しないというロン・デサンティス知事の姿勢によるものだ。LGBTQ旅行者の消費で恩恵を受けている地元の中小企業を苦しめることになるのを考慮していない」
ARTnews JAPAN