【特集2024】ことしで終わらない?“令和のコメ騒動” 新米の出荷で解消したか 「来年分を先食いしている」と指摘する専門家も ≪新潟≫
2024年に話題となった出来事や関心を集めたニュースをお伝えしています。 今回は“令和のコメ騒動”について。 【動画】“令和のコメ騒動”から見えた課題 専門家「来夏またコメ不足の可能性」《新潟》 農水省は新米によって品薄が解消するとの見通しを示していますが、専門家はこのままでは来年の夏再びコメ不足になりかねないと指摘していました。 コメをめぐる動きを振り返ります。
■コメ不足の正体とは
黄金色に実った稲穂はまさに日本の宝…… 本格的な稲刈りのシーズンを迎えた県内。 8月下旬から、待ちに待った新米も徐々に出回り始めました。 ただ、新米を求める人から聞こえてきたのは……。 〈新潟市からの客〉 「(コメが)どこにもなくて。全然ないですね。うちもあと2日分ぐらいでなくなるところだったのね」 〈埼玉県からの客〉 「スーパーに全然ないんですよね」 全国的に広がったコメ不足……。 コメどころの新潟でも品薄となるスーパーもあり“令和のコメ騒動”ともいわれるほどです。 農水大臣はことし8月、在庫が少ない時期に地震や台風に備えた買いだめの動きが出たことに加え、お盆休みの影響で物流が滞ったなどと説明。 在庫は確保されているとの見方を示しました。 しかし、こんな指摘をする人も…… 〈キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹 山下一仁さん〉 「猛暑とかインバウンドの需要をうんぬんする前に、そもそも昨年産のコメの生産量が10万トン減少してたということなんですね。だから40万トンぐらいの不足が多分あるんだろうと思いますね」 元農水官僚で農業政策などを研究している山下一仁さんです。 コメの生産量は年々、減ってきていたと話します。 国内は近年、主食用のコメの需要が毎年およそ10万トンずつ減少していました。 これに合わせるように供給も減少させていて、去年は前の年と比べて9万トンほど少ない生産量だったというのです。 それに加え、去年は猛暑によってひび割れたり白濁したりする米粒が多くなりました。 そうした粒が精米した際に取り除かれ、20万トンほど減少したといいます。 さらに、農水省は海外からの観光客が増えた上、物価高騰の中でのコメの値ごろ感が後押しして需要が去年より11万トン増えたとしています。 山下さんはこれらを合わせ去年よりも40万トン足りなかったと計算しています。 また、農水省も7月末現在の民間在庫が前の年の同じ時期より40万トン少ないと公表しました。(8月30日発表) 〈キヤノングローバル戦略研究所 研究主幹 山下一仁さん〉 「確かに9月になると落ち着くでしょう。でも9月に供給されるコメというのは今年産のコメなわけですよね。それを40万トン少なくなるということで、本来ならことしの9月から来年の8月に供給されるコメを先食いしてるわけですよね。先食いするということは来年の7月、8月の端境期にまたコメが不足するというわけです」