元スキー雑誌編集者が立ち上げたファッションブランド「ボーゲン」 レトロなスキームードが魅力
客層は「下は高校生から上は90代まで」。男女比は男性が6~7割と言う。スキーウエア以外にチノパンやTシャツ、スエットなども作っているため、「全くスキーをしない人が商品を買っていくケースもある」が、中にはファッションとして「ボーゲン」を好きになって、それをきっかけにスキーを始めたという客もいるという。「大好きなスキーへの恩返しになったかな」と小川さん。
「ボーゲン」は、東京・五本木に事務所兼ショップを構えていた時期もあるが、小川さんは20年に北海道にUターン移住。夕張郡長沼町でショップ「ボーゲンランド」を運営しながら、約1反(約990平方メートル)の広さの畑で農業も行っている。Uターンを決めたのは、「もっとスキーがしたかったのと、昔から土いじりも好きだったから。体が動くうちに好きなことをやりたいと思って」。長沼は新千歳空港からも近く、ニセコまで2時間半、トマムまでは1時間半、札幌のテイネまで1時間と、フィールドやゲレンデへのアクセスの良さもこの場所を選ぶ決め手になった。
北海道・長沼にショップオープン
面白いのは、東京から長沼に移ってからの方が、「お客さまに会う回数が増えた」という点。確かに、スキーヤーにとっては東京都心に店があるよりも、北海道にある方が滑りに行った帰りに寄りやすい。新千歳空港に近い点も、本州のスキーヤーには便利だ。各地で受注会を兼ねたポップアップイベントも精力的に行い、「ボーゲンランド」以外での接点も作っている。今秋冬物に関しては、長沼のほか東京、大阪、金沢、長野・白馬、新潟、秋田の計7カ所でポップアップを開催。サンプルを車に積んで、3000~4000キロを走ったという。
今秋、「ボーゲンランド」の建物の横で、2.5坪の広さ(8.8平方メートル)のガレージを生かし、「ワンシーター」(1人乗りリフトのワンシーターから命名。建物横にリフトチェアも配置)という古着や古雑貨を扱う店もオープンした。「ボーゲン」のアーカイブもリメークなどを行って販売するほか、1980~90年代などの古いスキー板も扱う。古スキー板はエンピツのような細長いシルエットと原色使いがアラフォー以上の世代には懐かしく、若い世代にとってはレトロで新鮮。古スキー板に関しては、今後「ワンシーター」でレンタルサービスなども検討していくという。「元々、スキーの面白さを伝えたいという気持ちで始めたブランド。自分のできる範囲内で、(レンタルなど)スキーのソフトの提供もしていきたい」と話す。
「WWDJAPAN」12月4日号“スノースポーツ市場”特集の表紙では、モデルのMIUや一絵が「ボーゲン」のセーターやニット帽などを着用。こちらも是非チェック!