八嶋智人 役を演じるうえで心がけていることは?「“場所を楽しむ能力”みたいなものが俳優には必要なのかもしれない」
放送作家・脚本家の小山薫堂とフリーアナウンサーの宇賀なつみがパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「日本郵便 SUNDAY’S POST」(毎週日曜15:00~15:50)。11月24日(日)の放送は、俳優の八嶋智人(やしま・のりと)さんをゲストに迎えて、お届けしました。
◆八嶋智人の思う“俳優”という仕事
1970年生まれ、奈良県出身、54歳の八嶋さん。自身が芝居に興味を持ったきっかけについて、「関西にいて、とにかく人の前に出るのが小さい頃から好きで。それをどういうふうにやっていこうかと。関西にいると、面白いやつは“吉本に行ったらいいじゃん”というのがあるんですけど、その分芸人さんのすごさみたいなものは肌感でわかっていますからね。ちょうどそのときに世の中に現れたのが小劇場ブームやバンドブーム。バンドもやっていたんですけど、ちゃんと技術がないとダメで……となると『僕は役者で行こう』と。小劇場の俳優は当時、時代的には個性で何とかなるという時代だったので、夢の遊民社とか大阪だと南河内万歳一座だとかを見始めて、どんどんハマっていった感じです」と振り返ります。 小山から「子どもの頃も、演劇会とかに出て褒められたりしていたんですか?」との質問に、八嶋さんはうなずきつつ、自身の少年時代について言及。「親戚が集まって、扇子とかがあったらおばあちゃんから借りて、舞いのようなことをすると大人は喜ぶんだなとか、幼稚園くらいのときから感じていて。注目されると嬉しかった」と話します。 そんな少年時代を経て、思春期を迎えると「“モテたい”とか“ちやほやされたい”っていうときに、僕は勉強もできないし、運動もできない、見てくれもあまりよくない。でも、人前に出て楽しい振る舞いをすると、そういうのが楽しいと言ってくれる女の子がいたりもしたので、一生懸命やっていましたね」と八嶋さん。 “人を喜ばせたい”という思いが根底にありつつも、「自分が楽しいことに、周りにいる人が楽しそうにしてくれる、ということが勝手に条件に入っているから。よくドラマの現場とかでも『ムードメーカーだね』とか『盛り上げてくださってありがとう』とか言われるんですけど、人のためじゃないんですよね。自分が楽しむために(笑)、周りにいる人が楽しそうにしているのが好きみたいです」と笑顔をのぞかせます。 宇賀が「八嶋さんが普段から心がけていることというか、演じるうえで気をつけていることはありますか?」と尋ねると、八嶋さんは「基本的に、“場所を楽しむ能力”みたいなものが俳優には必要なのかもしれないと思うんです」と答えます。 なぜなら、「キャスティングされて、台本があって自分の役割があって、それをイメージして演じるというのはどこでも一緒。そのためには、それをちゃんと全うしないといけない。オファーを受けた以上、その場所でいかにその役として楽しめるかどうかという仕事なので」と八嶋さん。 さらには、「だから、責任感はあまり持っちゃいけないなとも思っています。責任は全部ディレクションをされる方、監督とか舞台だったら演出家の方。お客さんにどう見せるかという仕事をされている方々。僕らはそれに従って、それをきちんとやる。責任を負ってしまうと自分の美意識が出てくるんでしょうけど、基本的には自分の美意識を現場では捨てるようにしています。そのほうがいいんじゃないかなと年齢を重ねるごとに思えてきました」と話していました。 (TOKYO FM「日本郵便 SUNDAY’S POST」2024年11月24日(日)放送より)