ロシア軍歩兵戦闘車、味方の歩兵戦闘車を待ち伏せ攻撃で撃破 至近距離から猛烈な射撃
ウクライナがロシア西部クルスク州に侵攻して3週間近くたつなか、ウクライナ軍部隊の進撃はペースこそ落ちているものの、止まってはいない。最前線では、混沌とした状況のなかで両軍が激しい戦闘を繰り広げている。 ウクライナの調査分析グループ、フロンテリジェンス・インサイトは22日のレポートで、この方面の「前線の状況は依然として流動的だ」と指摘している。 ウクライナ軍が占領したスジャ町の東6.5kmほどに位置するルスカヤコノペリカ村で先日あった交戦は、そうした状況を如実に表すものだったのかもしれない。20日かその少し前、コザク(コサック)装甲トラック少なくとも1両に乗ったウクライナ軍の先鋒部隊がこの村に乗り込んだ。ルスカヤコノペリカ村の最も近くに展開しているウクライナ側の大規模部隊は陸軍の第54独立機械化旅団と第61独立機械化旅団とみられるので、この先鋒部隊もいずれかの旅団の部隊かもしれない。 コザクが西から道路を走ってきてルスカヤコノペリカ村の交差点に差しかかると、そこに北からロシア軍のBMP-2歩兵戦闘車が進入してくる。敵味方の車両が間近でまみえるなか、交差点のすぐ西側に待機していたロシア軍の別の歩兵戦闘車(BMP-2の後継モデルのBMP-3)が状況をさらに混乱させる。 これらのBMPはロシア軍の第56親衛空中襲撃連隊の所属だったのかもしれない。ウクライナのシンクタンク、防衛戦略センター(CDS)の報告によると、ロシア軍は最近、この連隊をウクライナ南部ザポリージャ州からクルスク州に配置転換していた。 話を戻すと、ロシア軍のZALAドローンが上空から監視するなか、待ち受けていたBMP-3は2A72機関砲で射撃を始める。見るからに、乗員はウクライナ側の車両に向けて撃っていたと考えていたのは明らかだ。だが、実際はそれは味方のBMP-2だった。BMP-3は至近距離から30mm口径のこの機関砲を撃ちまくり、BMP-2を破壊し、炎上させる。その間にウクライナ軍のコザクはするすると後退し、その場を離れている。 BMPの同士討ちは、ルスカヤコノペリカ陥落の前触れかもしれない。ウクライナの調査分析グループ、ディープステート(DeepState)の戦況マップによると、この村は23日時点で両軍が支配を争うグレーゾーンに入っている。