開会式まで約1カ月… パリのセーヌ川はオリンピック競技を開催するにはまだ汚すぎる(海外)
フランスのセーヌ川は、パリ五輪の水泳競技を実施するには汚すぎると市当局が明かした。 市はセーヌ川の水質改善のために15億ドル(約2400億円)をつぎ込んだが、大雨の影響で水質汚染のレベルが上昇した。 セーヌ川は深刻な水質汚染により、1923年以来遊泳禁止となっている。 大規模な水質改善に取り組んできたものの、パリのセーヌ川は7月に始まるオリンピックで水泳競技を実施するには汚すぎると市当局が明かした。 『ル・モンド』によると、セーヌ川で採取されたサンプルは6月10日から6月16日までの約1週間、4カ所の異なる場所で大腸菌の数値が推奨される基準値を超えていた。 「セーヌ川のサンプルは今夏の基準に達していない」とパリ地域の最高警備官マルク・ギヨーム(Marc Guillaume)氏は6月21日に語った。 セーヌ川はパリ五輪の目玉として、開会式やさまざまな水泳競技に使用される予定だった。 オリンピックに先立ち、市は15億ドルを投じてセーヌ川を浄化し、アスリートの安全を確保するために定期的に細菌の数値をチェックしてきた。 パリ市は大会に先立ち、15億ドルを投じて河川の清掃を行い、選手の安全を確保するために定期的に細菌レベルの検査を行った。 ところが、大雨がこれまでの対策を台無しにし、大腸菌 ── アメリカのニューヨーク州公衆衛生局によれば、「糞便汚染の最良の指標となる大腸菌群」 ── を含む2種類の糞便性細菌が高い率で検出されているという。 ル・モンドによると、「雨、川の流量の多さ、短い日照時間、例年よりも低い気温の影響で、水質は悪化したままだ」と市長執務室が毎週出しているレポートは報告している。 19世紀に作られたパリの下水道システムは、悪天候によって処理ができなくなり、都市流出水を招くことがある。これが汚染物質を小川や河川に運ぶ。 セーヌ川はその水質汚染度の高さから、1923年以来遊泳禁止となっている。 2023年には、トライアスロンの選手たちがセーヌ川で開かれたテストイベントに参加し、中にはその安全性について懸念を示すアスリートもいた。 ESPNによると、ノルウェーのオリンピック金メダリスト、クリスティアン・ブルンメンフェルト選手は「僕はいつも口を開けて飛び込むんだ。明日の朝、目が覚めたら… なんてことになったら笑えないよ」と話したという。 水質汚染の数値や悪天候のため、セーヌ川での他の多くのテストイベントは中止されている。 それでもギヨーム氏は、水泳競技は予定通り行われると「確信している」と語った。 「ある時点で天候は変わり、雨は止み、太陽が照りつけるようになるだろう。夏の条件下でこそ、遊泳可能であることを検証できるだろう」と同氏は話したとAxiosが伝えている。 2024年の夏季オリンピック競技大会は7月26日に開会予定だ。 フランスのCentre de Droit et d'Economie du Sport(CDES)の調査によると、オリンピックがパリに与える全体的な経済効果は67億~111億ユーロ(約1兆1400~1兆9000億円)にのぼるという。
Rebecca Rommen