【カケルサンイン】最新技術と洗練デザイン 新型「やくも」273系の“ひみつ”を深掘り(鳥取・島根)
山陰中央テレビ
福島睦アナウンサー: TSKと山陰中央新報のコラボ企画「カケルサンイン」。共通のテーマをテレビと新聞、それぞれの視点で掘り下げ、ニュースの核心に迫ります。 今回の担当は田中記者です。 田中祐一朗記者: 今回、掘り下げるのはJRの特急やくもの新型車両273系です。 最新の技術と洗練されたデザインがちりばめられ、鉄道ファンだけでなく多くの人をひきつける新型やくもの魅力を2回シリーズで探ります。 まずは「酔いやすい」電車の返上を目指して導入された、最新技術についてです。 6月14日、「ラストラン」を迎えた特急やくも、381系電車。 導入から約40年、定期列車として運行されるのはこれが最後。 伯備線や山陰線の沿線や駅のホームでは、大勢の鉄道ファンがその最後の姿を見届けました。 「最後の国鉄型特急電車」とも呼ばれた381系。山陰に登場したのは1982年。 日本で初めての「自然振り子方式」の車両で、カーブが連続する中国山地の難所を車体を傾けて速度を落とさず通過でき、岡山ー出雲市間の所要時間を、20分短縮しました。 乗客: 「喜んで乗りました。早く乗れるからね」 「快適でしたね。車内もなかなかいいようですよ」 その後も、山陰と山陽を結ぶ看板列車としてリニューアルを重ねながら、42年間走り続けました。 その381系からバトンを受けたのが新型の273系電車。今年4月、デビューしました。 約40年ぶりのフルリニューアル、新たな看板列車として中国山地を駆け抜けています。 山陰に根付く伝統や文化を象徴する「やくもブロンズ」をまとって、緑豊かな山陰の風景にも映えるデザインに一新されました。 変わったのは見た目だけではありません。 新型やくもがめざしたのは「振り子」車両の最大のウイークポイント、「乗り心地」の改善です。 「車上型」制御付き自然振子方式と呼ばれるメカニズムを新たに開発、乗り物酔いの評価指数を最大23%軽減しました。 JR西日本出雲支所 三宮大輝さん: 「車上の方にセンサーがあって、今自分がどこの曲線を走っているのかっていうのを、自分が持っているマップと常に照合することによって、かなりこまめに地点検知ができるようになった。ベストタイミングで車体を傾斜させることで、乗り心地がこれまでより向上する」 これまでの「自然振り子式」は、遠心力の働きで車体を傾けるため、カーブを通過するタイミングと車体が傾くタイミングに僅かな時間差が発生し、これが乗り物酔いの原因とされています。 乗り心地の改善を図るため、JRはこの振り子方式を改良、線路内の設備を利用して列車の位置を把握、さしかかるカーブの形に合わせて傾きを制御する新方式が開発されました。 さらに、新型やくも273系では、列車のデータベースに登録された線路の情報と、列車に搭載されたセンサーで得た傾きや速度などの情報を照合することで、走行地点を正確に割り出し、より適切なタイミングで車体を傾けることができる最新の制御装置を新たに開発しました。 JR西日本出雲支所 加藤孝信さん: 「今後、さらにお客様の声っていうのをより反映させた、パラメータというのを適用できることになっております。まだまだ乗り心地なり、いろんな部分の改善しようというのは残されていると思っております」 JR西日本出雲支所 三宮大輝さん: 「我々の仕事って、お客様のために快適にご乗車いただくために頑張ってやっている」 「ぐったりやくも」とも揶揄された乗り心地が大きく改善された新型車両、車内も進化しました。 山陰中央新報 石倉俊直記者: 「こちらが新型の273系電車の車内です。車内も非常に明るい雰囲気になっています」 「我が家のようにくつろげるぬくもりのある車内」をコンセプトに普通席は緑を基調に、またグリーン車はオレンジを基調にLEDの間接照明が明るく、落ち着いた雰囲気を演出。座席間隔も新幹線並みで、西日本の在来線では最大級の広さになりました。床もフラットでバリアフリー化。WiFiのほか、全ての席にコンセントを完備するなど快適性が大きく向上しました。 J R西日本出雲支所 加藤孝信さん: 「4月の6日にデビューして、まず一発目なんですけども、何か不具合があったとき対応すぐできるようにっていうことで、実際に私も乗りました。車内を歩いてみた時、お客様の笑顔がすごい素敵だなと思って、自分自身も嬉しく思いました」 見た目も中身も新しくなった特急やくも。 全ての列車が新型に置き換わり、山陰山陽を結ぶ看板列車として新たな歴史を刻み始めています。
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