【聞いてない!】賃金から勝手に毎月1万円を「社内預金」として差し引かれます。他の同僚は何も言わないのですが、拒否できますか?
毎月配布される給与明細を見た際に、事前のお知らせがないにもかかわらず1万円が引かれていることがあります。会社によっては従業員の賃金の一部を天引きし、社内預金として管理しているところもあるようです。 このようなことが従業員に伝えられず、会社側の独断で行われていた場合は、どうなるのでしょうか。 本記事では、従業員が社内預金に協力する必要性について、賃金控除に関する労使協定の有無とともにご紹介します。
社内預金とは?
社内預金とは、会社が従業員の賃金から一定額を天引きして預金しておき、時期がきたら利子を付けて従業員に返す制度です。社内預金を行う場合は、厚生労働省で定める利率以上の利子を付ける必要があるようです。 一般的な金融機関より利子が高い場合が多く、従業員としては効率的に資産運用できるため、計画的に資産を殖やせるというメリットがあります。 預けたお金を外部の金融機関が管理する財形貯蓄制度に比べて手軽に資金を引き出せるため、利用しやすい制度といえるでしょう。 ※出典:厚生労働省「社内預金制度の適正な運用のために」
従業員は社内預金に協力しなければならないのか?
労働基準法第十八条で「会社は労働者に対して社内預金の契約をさせてはならない」とされています。会社は労働者に社内預金を強制できず、従業員も自分の意思に反して社内預金に協力する必要はないようです。 もし、会社が「社内預金に協力しなければ解雇する」などと言う場合は、労働基準法違反に該当する可能性があります。 ただし、一定の制約のもとで、労働者の委託を受けて会社が労働者の預金を管理することは認められており、その場合は、預金者の範囲や預金額の限度・利率および利子の計算方法・受け入れ、払い戻しの手続き・預金の保全方法について定められている「貯蓄金管理に関する労使協定」を締結しなければなりません。
賃金控除に関する労使協定の締結はあるのか確認しよう
労働基準法第二十四条に「賃金は、その全額を支払わなければならない」とありますが、労使協定を締結している場合は例外とされています。 「賃金控除に関する労使協定」が結ばれていれば、社内預金を毎月の賃金から控除することが可能であると考えられます。 毎月の賃金から社内預金分が差し引かれている場合は、労使協定が締結されているかを確認しましょう。