突拍子もない設定に、最初は「なんだこりゃ？」と思う人も多いが、最後は大根に泣かされている

多くの人々が新たな挑戦や変化に向かう春。ウォーカープラスでは、新しい一歩を踏み出す人に勇気や希望を与える漫画を紹介している。 【漫画】本編を読む／読者をノックアウトしまくった大根の話とは…!? 本稿では、家族の日常や育児に関する作品を多く描く漫画家 内野こめこ( @nokonokomeko )さんの作品「喋るダイコンと少年が出会う話」をピックアップ。しゃべる大根というギャグ漫画のような設定から、コンプレックスを抱える少年が成長をしていく様子を描いた大作となっている。 ■「男のくせに手芸とか」コンプレックスに悩む少年を変えたのは“しゃべる大根” だいこんちゃんの夢は、世界一高い大根になって立派なふろふき大根になること。しかし、手と脚が生えたようないびつな形のだいこんちゃんは、大根おろしにされそうになる。 衝撃を受けただいこんちゃんは、「ただ美しい大根だってみんなに言ってほしかった」と本音をこぼしながら気を失ってしまう。次に目が覚めたときには服を着せられていて、横には少年がいた。驚きの声をあげるだいこんちゃんに、少年は「それ僕が作ったやつ…」と恐る恐る話す。手芸が趣味の少年は、ぬいぐるみ用として作ったワンピースを出来心で着せたのだった。 自分が作った服を着て無邪気に喜ぶだいこんちゃんに、次第に心を許していく少年。だいこんちゃんの写真を撮ってSNSに上げたらフォロワーも増え充実した日々を送っていたが、少年は手芸やかわいいものが好きな自分にコンプレックスを抱いていた。 そんな自分を認めてくれるだいこんちゃんが心の支えになってきたころ、突然「もう自分の服は作らなくていい」と言われる。さらにだいこんちゃんは、少年にとってつらすぎる提案をする。その真意とは――？ ■「いろいろ込めたので、漫画を読んで何かを感じてほしい」 ギャグ漫画と思わせて、予想外の神展開を見せるこの作品の作者・内野さんに、構想を思いついたきっかけを伺うと、「よくある人の形した大根が、実際に喋って動いたら」という考えから出てきた話だという。 「農家の子が大根に服を着せて、SNSに載せて～というところまで決めて、農家の子を男の子にするか女の子にするかを最初は悩みました。でも、男の子にしたらその後の話がするする決まりました」 軽快なテンポで読み進められる本作だが、だいこんちゃんとの交流をきっかけに、少年が偏見に悩みながらも向き合い、成長していく過程が繊細に描かれている。この漫画に込めた想い、伝えたかったことなどを伺った。 「今、自分で読み返しても、かなりいろいろ込めているな～と思います。おじいちゃんの言葉とか、最後のミノルの考え方とか…。でも、あらためて文章にすると微妙になってしまう気もするので、漫画を読んで何か感じてもらえたらうれしいです。読者の方がX(旧Twitter)やpixivのコメント欄で想いをいろいろな言葉にしてくださっていて、私が伝えたかったことをがっしり受け取ってくれたんだなあと感じられるコメントも多く、とてもうれしかったです」 内野さんが言うように、読者はこの漫画から各々何かを受け取ったようで、コメント欄には「私も夢叶えるために頑張ろうって思える作品でした」「自分が自分らしく生きることの大切さ。背中を押してもらった気分です」など熱い言葉で溢れていた。名言いっぱいの本作は、きっとあなたの一歩を後押ししてくれるはずだ。 取材協力：内野こめこ(@nokonokomeko)