失業者を餌食に… 中国で広がる不気味すぎるトレンド「自己規律チャレンジ」とは
ネットフリックスで人気を博した韓国ドラマ『イカゲーム』は、何かしらの理由で借金を抱えた人々が賞金獲得を目指し、監視下で命懸けのゲームに参加するという筋書きだ。 「電波少年」に出演したなすびが米紙に語る「当時の番組は見返せない」 中国メディア「シックス・トーン」によると、この作品に「不気味なほど似たダークなトレンド」が中国で話題になっている。その名も「自己規律チャレンジ」だ。 トレンドの餌食となった男性が同メディアの取材に答えている。失業し、借金に苦しんでいたというこの男性はある日、SNSで広告を見た。監視カメラが設置されたホテルの部屋で顔をいっさい隠さず、そこで26日間過ごすことができれば、85万9000元(約1820万円)の賞金が与えられる、というものだった。 一見すると単純だが、達成することはかなり難しい。香港紙「サウス・チャイナ・モーニング・ポスト」によれば、詳しいルールは次のとおりだ。 「参加者は複数の監視カメラでスタッフに見られている部屋に入れられる。1日1回だけ、照明のオン・オフを切り替えることができ、毎日午前6時までに切り替えておかなければならない」 「参加者は監視カメラを移動させたり、シャットダウンしたり、覆ったりしてはならない。また、カメラから3秒以上顔を隠してはならない」 「毎日指定された時間のみ携帯電話を使用できるが、元の場所に戻す必要がある。さらに、部屋に用意されているビールを覆い隠したり、飲んだりすることも許されない」 前出の男性は6900元(約15万円)の参加料を支払ったが、一度目は数時間でチャレンジに失敗した。すでに借金しているのにお金を使ってしまい、何の見返りもないことをもったいないと感じた男性は、また借金しながら二度目、三度目の挑戦をしてしまう。 彼はベッドを整えるためにカメラに背を向けて失格になり、次はビールをうっかり覆い隠してしまい失格になり、合計で2万元以上の手数料を支払うだけに終わった。 シックス・トーンによれば、このトレンドがいつ始まったのかは不明だ。だが今年に入って急速に人気が高まっており、中国のSNSで検索をかければ「自己規律チャレンジ」を宣伝するアカウントは数十件見つかるという。 この企画を運営するとある企業は、高額賞金をちらつかせて「貧困層や失業者を怪しげなチャレンジに参加させようとしている」とシックス・トーンは報じる。さらに、参加者を集めるために「ライブストリームをしたり、挑戦者の様子をソーシャルフィードで頻繁に放送したりしている」。 小部屋に閉じ込められる「自己規律チャレンジ」に2万元ものお金を取られてしまった前出の男性は、それは詐欺に当たるのではないかと親戚から指摘され、主催した企業を訴えた。訴訟は受理されたが、審理がいつおこなわれるかはわからない。 彼の弁護士は、チャレンジのルールは「不合理かつ不公平であり、参加者に深刻な心理的負担をかけている」と主張している。
COURRiER Japon