農業の新たな道を追求 喜界初の6次化認定事業者に ファームテック喜界
農林水産省が進める6次産業化・地産地消法に基づく総合化事業計画で、ファームテック喜界(鹿児島県喜界町、岩下雅大代表取締役)がこのほど認定事業者となった。2024年7月31日時点で群島内で同社含め10事業所が認定を受けており、喜界町内では初の認定。岩下代表は「(自社の認定が)6次化を志す方の増加につながり、島でしか作れない商品が広がっていけば。喜界から世界に挑戦したい」と意欲を示している。 1次産業の生産から2次産業の加工、3次産業の販売までを一体化し、地域産業の活性化につなげる「6次産業化」。1次産業が衰退し「0」になると成り立たないことから1×2×3=6次とされる。作物の魅力を知る生産者が原材料を活用して付加価値ある商品を生み出し、販路を築くことで収益の安定化、増加を目指す。認定事業者は融資返済の条件が緩和され、専門家への相談や施設整備、商品開発への交付金申請などが可能となる。 ファームテック喜界ではサトウキビを主に白ゴマ、トウガラシなどを生産。HACCAP(ハサップ、危険度分析に基づく衛生管理)を取り入れた自社工場で加工・製造し、島内の土産店やキッチンカー、自動販売機、オンラインストアなどさまざまな販路で販売する。生産から加工、販売まで一貫して衛生管理の「見える化」を図り、生産履歴を明確化。販売地域の資源を活用した新事業創出が所得向上や地域の雇用創出を図るとして、認定につながった。 岩下代表は「畑仕事だけではない農業との新しい付き合い方もあるはず、と6次化に取り組んできた。今後は島の農業を子どもたちへの教育に生かす〝郷育(きょういく)〟にも取り組んでいきたい」と笑顔で語った。